逆噴射家族のレビュー・感想・評価
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集団ヒステリー
これもまたATG配給らしい尖りまくった作品である
"逆噴射家族というタイトルは、この映画の公開された2年前に起きた「日本航空羽田沖墜落事故」に由来する。この事故の原因が、統合失調症の機長による逆噴射機構の作動によるものであり、その単語がその後世間に広まり、一時期流行したことに起因する"とはwikiから転載であるが、確かに『逆噴射機長』という今の基準では不謹慎極まりないキャッチフレーズが流行ったのだ
そこからのアイデアを着想としての今作なのだが、確かにパラノイアの匂いがプンプンする仕上がりである それは主人公の会社員だけではなく、会社員が被害妄想を抱くような家族達それぞれの主体感と自由度に、その乖離が拗らせていく過程を観ていく地獄への招待として興味深い
所々に何かズレている家族それぞれの描写は、個人的には距離を置く小林よしのりならではの緻密さが炸裂しているストーリーになっているのは称賛したい
具体的に言えば、妻の斜め向こうの行動→生贄としての本人を自己溺愛 息子→陰謀論に毒される主体性の無い人物 娘→自身のロリ素養を自覚せずその無頓着な自由行為に対する無防御 祖父→忘れられず戦争体験に沈殿する悲哀
家族のためにと自分の存在価値をも投げ打つ主人公が、その報われない生活の中で、「シロアリ」という単純なメタファに心を蝕む様子は、自分のような不真面目な人間には窺い知れない心の闇が否応なく垣間見れる
ラストの高速道路下の生活は、勿論、ある種のハッピーエンドだろうとは思うのだが、ファンタジーとしての着地点は、今の視点では疑問も無いわけではない・・・が、ま、ではそれ以外に何があるかと言えば、あのシロアリ駆除剤での無理心中で全員死亡というフラグしかないわけで・・・・ どっちにしても、今昔残酷物語は、これからも続くんだろうねぇ・・・(泣
今観ると、工藤夕貴のしたたかさと天才さに、舌を巻く演技であった
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自宅(CS放送)にて鑑賞。原案と共同脚本に小林よしのり、プロデューサー高橋伴明、共同製作長谷川和彦、監督石井聰亙と錚々たるメンツ。制作された'84年は核家族と云う言葉が出始めコレを具現化する一見平凡乍ら個性的な家族が描かれる。父“小林勝国”の小林克也、滑舌良く怪演が光る。祖父“寿国”の植木等は至って自然体。娘“エリカ”の工藤夕貴は懸命さが伝わる演技。だが誇張された過剰な描写は余り楽しめず、家屋倒壊シーンもハリボテっぽくリアルに感じられない。この内容でATGが製作と云うのもかなりユニーク。50/100点。
・鑑賞日:2011年10月10日(月・体育の日)
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