「「パーティやろうぜ、ガンヘッド!」」ガンヘッド かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
「パーティやろうぜ、ガンヘッド!」
1989年当時の、日本特撮技術の精髄が作り上げた映画。
1億円をかけたガンヘッドの実物大モックが、宣伝でも話題に。
登場するアイテムとガジェットの魅力に取り憑かれたファンたちが、異様な熱意でDVD制作に着手すると、そのまま本家東映に企画が通ってしまってついにソフト化までされた伝説の作品。
【ストーリー】
舞台は2039年の地球。
14年前、巨大なロボット戦争があった。
その最大の戦闘跡地であり巨大工場の人工島8JOに金のにおいを嗅ぎつけたトレジャーハンター集団の"Bバンガー"だが、かつて人類に宣戦布告した人工知能"カイロン5"はまだ生きていた。
差し向けられた戦闘アンドロイド・バイオドロイドの襲撃でBバンガーは全滅、辛うじて生き残った最年少メンバーの主人公ブルックリンと、何らかの目的で潜入し出会ったニムは、この地で育ったセヴンとイレヴンと名乗る少年少女に助けられる。
逃げることもできず、闘うことなど到底無理。
進退窮まる彼らに、ニムが自分は軍の特殊工作員で、そしてカイロン5が人類を滅亡させる準備を進めていると明かす。
早急にカイロン5を破壊しなければ自分達の身も危うい。
かつて人類が駆った多脚戦車ガンヘッドの残骸置き場でパーツをかき集め、ブルックリンたちは寄せ集めで一機の機体を組み上げる。
だがカイロン5は14年前にガンヘッド大隊を全滅させた超巨大ロボット・エアロボットを彼らに差し向けた。
緊張してニンジンをかじるブルックリン、クールでセクシーで強いけど打開策を持たない兵士ニム、バイオドロイドにさらわれてなんだかよく分からない目に遭わされてしまうイレヴン(美人)と、一人でしょんぼりするセヴン(子供)、そしてピンチにカッコいいセリフを吐く変な戦車ガンヘッド507。
凸凹チームの彼らが、人類が到達したことのないカイロン5中枢に、今殴り込みをかける。
バブル時代に作った、日本発のハードアクションSF。
と言っても15億円の予算は、当時のハリウッドの大作にはまだまだ遠く及びませんでした。
監督は原田眞人。
今でこそ押しも押されもせぬ人気監督ですが、当時はアメリカ帰りの新人で、書き上げた脚本は所々粋なセリフこそ輝くものの、SF的には大甘と言わざるを得ない出来。
そんな物語に生命を与えたのが、音楽、美術、特殊効果陣。
ブルックリンがガンヘッドに搭乗して敵地に乗り込む際のBGM・アイランド8JOは今でもニュース番組などで聴くことが出来るソリッドな名曲ですし、質量感に満ちたメカニックデザインはマクロスシリーズの河森正治、特撮シーンは特技監督の川北紘一他、その後の邦画界に貢献した方々多数。
ミリタリーSFとしても優れていて、高いクオリティのメカや銃器のデザインは今でも通用します。
さらに主演の高嶋政宏とヒロインのニム役ブレンダ・バーキはぴちぴちの美男美女。
ストーリーがイマイチでも、高嶋政宏の滑舌が悪くても、「ジェロニモオオオオオオオオ!」と叫びながら★3つあげてしまわずにはいられない、そんな魅力の詰まった映画なのです。