乾いた花のレビュー・感想・評価
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篠田正浩のヤクザ映画
主人公(池部良)はムショ帰りのヤクザ、早速、賭場に行くが、そこで気になる女(加賀まりこ)に出会う。
女は身の上を語らず、主人公は連絡の取りようがない。
その内、抗争事件が起き・・・。
原作は石原慎太郎、映画も乾いていた。
30分見ればいいかな
ストーリーはとっても石原臭い。最初の30分ぐらいは映像的に工夫があり面白い角度から写真が撮られていたりして映画のテイストを楽しめる。けどその後そういうカメラとか石原テイストを楽しむのはちょっと難しいな。何しろストーリーが退屈だから。
日本のフィルムノワールの最高峰だ!
傑作だ!
観終わった時のこの呆然とし、湧き上がる感激
「映画」を観たという喜び、充足感、満足感
いや、痺れたというべきか、それとも酔いしれたというべきか
これほどにスタイリッシュな日本映画はない
撮影が抜群に良い、べらぼうに良い
この乾いた感覚は他の日本映画で観たことがない
そしてフランス映画のどんなフィルムノワールよりも美しいのだ
池部良がこれほどに凄い俳優であるのかにも刮目もした
そしてなにより都会的センスに溢れていること!
確かに物語はヤクザ映画だ
しかし東映のヤクザ映画のような田舎臭い野暮さはまるでないのだ
横浜らしい無国籍の風味が全篇を支配している
主人公は着流しも着るし、花札賭博にも出入りする、賭場には両肌抜いた刺青の男がいる
しかし主人公が着る洋服は、スーツにしろ、カジュアルなポロシャツ姿にしろ抜群の都会的センスだ
ファッション雑誌のアート的なモノクログラビアにも負けない垢抜けた姿なのだ
その彼がコケテッシュな魅力の加賀まりこが運転するコンパチーブルのスポーツカーに乗って未明の首都高を爆走するのだ
そして音楽!
モダンジャズのようなテーマがタイトルバックに流れる
しかしあとは殆ど音楽はない
ごく一部にのみ限定的に流れるのみだ
そしてクライマックスの殺人シーンのオペラ!
殺人シーンでこれほどの感動を受けたことはない
語り草になる日本映画屈指の名シーンだ
なるほどスコセッシが松竹からプリントを直接購入して数十回は観たというのは納得できる
日本のフィルムノワールの最高峰だ!
良
胃壊してるな、少し口がくせぇ。わたしこの間少しヤクを打ってみたの、でも大したことなかったわ。
中平康のようには演出できない監督と、三島のようには小説を書けない原作者のタッグ。あるいは、比べるべきは、同じ松竹の大島渚、吉田喜重。源氏鶏太や、今東光。彼らに比べてやばいくらい雰囲気だけの、篠田正浩と慎太郎。本広克行と君塚良三みたいな。通俗ってもしかして、こういうことかしら。
松竹ヌーベルバーグにこいつが潜んでたことが、実は日本映画をぶっ壊しちゃったんじゃないかしら、山田洋次ってこいつと似てるとすら思う。山田洋次の方がまだ食えるけど。
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