乾いた花のレビュー・感想・評価
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横浜橋商店街
一言で言えば理屈っぽいチンピラ映画。
狂った果実とか青春残酷物語とか、この頃大いに流行った妙に肩に力に入ったメンドくさい作品の一つではありますが、カミソリのような映像感覚は抜きんでています。チンピラが口にすると滑稽としか感じらられない難しい言い回しはご愛嬌として、池部先輩と加賀先輩の時代を超えたカッコよさは突出しています。
昭和30年代の横浜の風景は、オシャレな港町と勘違いされている横浜を、本来の薄汚い魔都として忠実に捉えています。
しかし加賀先輩は美人ですね。最近特に女優は中性的になってしまいましたが、中国や韓国のように吸い込まれるような美しさがなくてはいけません。
篠田正浩のヤクザ映画
主人公(池部良)はムショ帰りのヤクザ、早速、賭場に行くが、そこで気になる女(加賀まりこ)に出会う。
女は身の上を語らず、主人公は連絡の取りようがない。
その内、抗争事件が起き・・・。
原作は石原慎太郎、映画も乾いていた。
30分見ればいいかな
日本のフィルムノワールの最高峰だ!
傑作だ!
観終わった時のこの呆然とし、湧き上がる感激
「映画」を観たという喜び、充足感、満足感
いや、痺れたというべきか、それとも酔いしれたというべきか
これほどにスタイリッシュな日本映画はない
撮影が抜群に良い、べらぼうに良い
この乾いた感覚は他の日本映画で観たことがない
そしてフランス映画のどんなフィルムノワールよりも美しいのだ
池部良がこれほどに凄い俳優であるのかにも刮目もした
そしてなにより都会的センスに溢れていること!
確かに物語はヤクザ映画だ
しかし東映のヤクザ映画のような田舎臭い野暮さはまるでないのだ
横浜らしい無国籍の風味が全篇を支配している
主人公は着流しも着るし、花札賭博にも出入りする、賭場には両肌抜いた刺青の男がいる
しかし主人公が着る洋服は、スーツにしろ、カジュアルなポロシャツ姿にしろ抜群の都会的センスだ
ファッション雑誌のアート的なモノクログラビアにも負けない垢抜けた姿なのだ
その彼がコケテッシュな魅力の加賀まりこが運転するコンパチーブルのスポーツカーに乗って未明の首都高を爆走するのだ
そして音楽!
モダンジャズのようなテーマがタイトルバックに流れる
しかしあとは殆ど音楽はない
ごく一部にのみ限定的に流れるのみだ
そしてクライマックスの殺人シーンのオペラ!
殺人シーンでこれほどの感動を受けたことはない
語り草になる日本映画屈指の名シーンだ
なるほどスコセッシが松竹からプリントを直接購入して数十回は観たというのは納得できる
日本のフィルムノワールの最高峰だ!
良
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