「よかった!」カルメン純情す 抹茶さんの映画レビュー(感想・評価)
よかった!
正直、木下作品は所々やり過ぎというか、「ちょっとこれー」となってしまう演出が多くて(主に音楽)、苦手意識があったのですが、本作はそんなクセが全部うまい具合に成功していたと思えました。
常に傾いだ画面、画面の切り替わりのモーション、終盤の戦時下の記録映像を思わせるような早回し。味の濃い(濃すぎる)登場人物達。映画全体にわたってユーモアに満ちていました。
音楽は前作『カルメン故郷に帰る』がシューベルト映画だったのに対し、本作ではキチンとビゼーの「カルメン」を多用(笑)。芸術作品を写すシーンではあけすけになんちゃってな現代音楽風に金属音や電子音を使用し、アトリエの呼び鈴は銅鑼(笑)。デモ行進は特撮を思わせるオーケストラ。私的にはやり過ぎ感や作為的に感じられる木下作品の劇伴が、本作では絶妙な味わいでした。
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