「カルメンが残したもの」カルメン故郷に帰る arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
カルメンが残したもの
クリックして本文を読む
日本初の総天然色映画ということで、多分色の使い方は相当意識したのだろうと想像するる。
初秋の空高い軽井沢の自然(青い空、のんびり草を食む馬、全ての背景になっている浅間山)に、故郷に帰ってきたカルメンと朱美の衣装が鮮やかに映える。
この原色の衣装は、総天然色映画ということもあるだろうが、彼女二人がこの土地でいかに異色の存在かということを象徴している。
芸術云々は多分誰かに吹き込まれたことの受け売りだろうが、彼女たちにストリッパーという職業に対する後ろめたさは然程感じられない。(芸術だという建前を必死に信じこもうとしているのかもしれないが)
田舎の人々、特に父親にとっては到底受け入れられない。
ただ、彼女たちが堂々としている分、村の人々にあからさまに彼女たちを非難するような空気もない。
田舎の平穏ながら代わり映えのしない毎日に彼女たちはつかの間、東京の、都会の空気を運んできた。そして、戦争で視力を失った元教師にオルガンという希望を残したのだ。
コメントする