劇場公開日 1951年3月21日

「木下惠介監督の代表作に笑い、涙する。」カルメン故郷に帰る 星組さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5木下惠介監督の代表作に笑い、涙する。

2023年3月5日
PCから投稿

本当に面白い物語、映画だった。

木下惠介という監督の作る映画には
こちら側の意表をつくものが多い。
しかしこの映画に関しては終始あっけらかんとし
都会慣れしたカルメンと、純朴な村人たちの
何ともいえない交流と、すれ違いに終始する。
一方、カルメンの父は最初から暗い。
カルメンの存在に蓋をしているのだ。
その父が吐露するカルメンのエピソードで
過去に起こった事故を勝手に引きずり、
今も娘を案じているのが分かる。
物語の変調役として、カルメンの妹と、後輩の存在があり
彼女らとの絡みとセリフには深刻な表現は一切ない。

笑う村人と少し足りない都会っ子のすれ違い。
真剣に対応しているカルメンの姿に涙する。

ほんとうはどちらが賢いのかは分からない。
分からないけれどカルメンの帰郷で村に残ったものもあり
ラストシーンと同じく、実は清々しい映画である。
監督のメッセージはそこかな?

そして、やっぱり凄い、スゴイ、凄いと
高峰秀子の凄さを再確認した映画でもある。

星組