「「すごい」映画ではあるけど・・・」ガメラ 大怪獣空中決戦 葉読五式さんの映画レビュー(感想・評価)
「すごい」映画ではあるけど・・・
「シン・ウルトラマン」の公開が近いため、監督の樋口真司さんが参加した作品の中でも評価が高い本作を視聴。
結論から言えば、確かに「すごい」映画であったことは事実だ。30年も前に撮られたとは思えないような大迫力の特撮カットは、特撮オタクはもちろんそうでない人も必見のクオリティである。着ぐるみ特撮によって、リアルに、生物的に撮影された怪獣の姿にはかっこよさ、恐ろしさを強く感じた。
その一方で、やはり30年前だなあと思わせられるような、あからさまに合成の跡が見えたカット、ミニチュア感が拭いきれないカットも多く、正直2022年に見てしまっては見劣りするところがある。
しかし最大の問題点はストーリーの、特にガメラと交信する少女にある。そもそもこの役者さんの演技からして棒読み感が否めないという問題があるのだが、そもそもこのキャラクターが作品に必要だったかといわれると非常に疑問である。ガメラ映画シリーズを通して、子供たちとガメラの絆という要素があることは把握しているし、それゆえに必要なキャラクターであることはわかるのだが、それにしても本当に必要だったのか?という疑問は拭いきれない。その少女との交信でガメラが強くなったというわけでもない。ガメラの出現を預言したりしていたが、なにぶん登場寸前に「ガメラが来る」というだけで、正直別にあってもなくても変わらない程度だ。
とはいえ、それ以外の点においてはストーリーもいい出来ではあると思う。序盤の、海を漂流する謎の岩を調査するシーンにはSF的ワクワク感があって楽しかったし、ギャオスをドームに閉じ込めてしまおうというのはなかなか面白い話で、特撮も相まっていいシーンとなっていた。特撮オタク以外に積極的に進められるほどではないが、それでも一見の価値はあると思う