「大映怪獣プロレスの完成形」大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス レレレさんの映画レビュー(感想・評価)
大映怪獣プロレスの完成形
前作以上にいろいろパワーアップされた
大映ガメラシリーズ第3弾
バトルの展開が完全に怪獣のプロレス三本勝負
一本目はギャオスが凶器攻撃(超音波メス)で優勢勝ち
ガメラの右腕に超音波メス当たった後は
執拗に右腕を狙うギャオスは
典型的なクラシックスタイルのプロレス
二本目はガメラの噛み付き攻撃に
夜が明けて逃げたギャオスのリングアウト負け
でも自分の足切り離して逃げる根性は見事
三本目はガメラが徹底的にギャオスのバックを取る
格闘技の基本プラス噛み付きで火口に引きずり込んでKO勝ち
改めて気付いたことだけど
ガメラって肉食わないんだな
噛み付いてたギャオスの足はほっぼり出して帰るし
背中噛み付いて喰いちぎった肉も捨ててたし
この辺は人間その他動物食うギャオスと対照的
あとゴジラの噛み付き攻撃ってあまり記憶に無いけど
ガメラはけっこう噛み付き多用する
この辺りは動物的でいい
その他雑感
戦後生まれの人の大半は物まねでしか知らない
戦前の名悪役の上田吉二郎さんの演技が見られるのは貴重
意外とノリノリで撮影に臨んで下さって
「怪獣を喰ってやろう」と意気込んで熱演したそうだ
英一君見捨てて逃げようとしてギャオスに喰われた
ざまあああwな死に様を見事に演じた新聞記者役の三夏紳さんは
大映ガメラシリーズ常連
対バイラスと対ギロン以外の全作品に出演
座頭市の市本人のスタントを演じた縁で
後年「快傑ズバット」で座頭市パロの
地獄市という居合抜きの名人の役でゲスト出演している
労務者コンビのマイトの熊(太ってる方)を演じた丸井太郎さんは
テレビドラマ「図々しい奴」で人気者になるが
映画俳優は映画を優先すべきという永田雅一大映社長の逆鱗に触れ
映画に連れ戻されて飼い殺し状態になり自殺した悲劇の人
ギャオスに真っ二つにされた車は
東京モーターショーで展示された
トヨタ車の内部展示用の本物を借りて来て撮影されたが
一部の書籍では事故で真っ二つになった車を借りて来たと記述されている
中日球場に住民が避難するシーンは
実は当時大映が持っていた東京オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)の本拠地の
東京スタジアムで撮影したものに
中日球場の電光掲示板等の映像を合わせて作られた
東京スタジアムは現在存在しないので貴重な映像
ミニチュア撮影はやはり東宝特撮に劣るが
合成は当時としてはハイクオリティ
ヘリや新幹線が切られるシーンとか
ギャオスに人が喰われるシーンとかは見事
ひとつ難点を挙げるとしたら
やはり回転作戦だろうか
あれだと遠心力でギャオスが目を回す以前に
吹っ飛んでしまうはずなのだが
「目が回るけど美味しい離れられない!」という
ギャオスの食い意地に賭けたのか?
