劇場公開日 2025年12月5日

「氷の街に架かる夜の虹!欲望渦巻く大人のガメラ映画。怪獣映画界のうなぎパイ。ミニチュア特撮の幸福。」大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 氷の街に架かる夜の虹!欲望渦巻く大人のガメラ映画。怪獣映画界のうなぎパイ。ミニチュア特撮の幸福。

2025年12月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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私のベストガメラ映画です。ガメラにとって、シリーズ2作目にして最初の対戦映画であり、最初のカラー作品。
シリーズでは異色作。その特長は、欲望が渦巻く、大人のガメラ映画であることです。
子供が出てこない、9割が夜のシーン、ガメラの歌もない(ギャオス以降)、ガメラマーチも無い(ギロン以降)。
ガメラは人類の味方ではなく火炎エネルギーを求めて飛来し、出合ったために本能的に戦闘しただけ・・・など、あからさまに子供向けには作られていない点が良いです。

そして、初の対戦相手であるバルゴンがユニーク。
もっぱら特撮ファンの間で有名な話は、バルゴンの不思議について。
熱帯のニューギニア出身なのに冷凍怪獣!なのに水に弱い!周りを凍らせた氷が溶けたらどうするの!
自己矛盾してないか! などという愛ある突っ込みが出来るところが、また愛おしい。
高山良策氏(ウルトラシリーズでお馴染み)製作によるヌイグルミも、愛嬌があり、縦に閉じるまぶたがキュート。
また、本作ではガメラも凶悪な面構えと基本四足がカッコイイ。ゴジラで言うところのキンゴジに相当?

最も好きなのが、「大阪、夜の虹」!
大阪城でバルゴンが虹色光線を放射するシーン。
夜、凍る街で、いきなり虹を映し出す意外性と、その妖しい美しさ。
シネスコ画面を横断するスケールといい、本作でのベスト・シーンです!

他にも特撮では、冒頭のダム破壊、神戸港でのバルゴン誕生、大阪城冷凍、琵琶湖決戦など、シネスコの横長画面いっぱいに映える広大なミニチュアセットをロングで捉えていて、左右に2怪獣を配置する構図が見事です。
また、数カットですが、人と怪獣を一画面におさめた、きれいな合成も効果的です。

出演者では、江波杏子の日本人離れした容姿が美しい!現地人のコスプレも白いスーツもお似合いです!
本郷功次郎の正義漢は定番ですが、ヒロインとちょっといいムードになるのも憎い。
その他、大映俳優陣の方々もいい味を出してらっしゃいます。
一番親しみを感じるのが「ルビー殺人光線銃」※を開発した北原義郎演ずる天野教授で、バルゴンの断末魔の虹を解説します。
(※いいのかそんなもの作って!東宝はちゃんと気を使ってメーサー殺”獣”光線と言ってます。)
ギャオスでも同じく博士としてラストに出演されて、ギャオスの断末魔の音波光線でもまったく同じ解説をされるので、昔の名画座での連続上映では毎回拍手喝采でした。(^^)
ナレーションの若山弦蔵!(ショーン・コネリーなどの声優)もしぶいです。

「カットされた?幻のバナナの皮のギャグ」について
※今回のトークショーで樋口監督が言われていましたが。
ニューギニアからの帰り、洋上の船で、船員が船室から小野寺(藤山浩二)をマージャンに誘い出すときのシーン。
その船員が戦友の遺骨(と称した箱)にお供えしてあるバナナを1本とって食い、廊下で皮を捨てるのですが、その皮を踏む直前でカットが変わります。
どこにも証拠はありませんが、絶対皮を踏んですってんころりんというカットが絶対あったはずです。
あまりに古典的なギャグが流れに合わないので切ったのでしょう?

ちなみに併映は「大魔神」!
音楽は木下忠司(木下恵介の弟。「喜びも悲しみも幾歳月」(1957)他多数「特捜最前線」の巨匠。今回初めて気づきました。)
キャストでは、東宝なら、江波杏子さんは水野久美さん、本郷功次郎さんは佐原健二さんか宝田明さん、久保明さんですね。
昔のアクション映画には「怪しい中国人」が必ずいましたね。谷謙一さんの他にも藤村有弘さんとか、怪しい中国訛り?の日本語で。

ITOYA
トミーさんのコメント
2025年12月8日

何度も観ていてDVD、LDも持ってるんですが、李さんと今回初めて知りました。

トミー
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