「監督「これが映画だ!」」蒲田行進曲 梅さんの映画レビュー(感想・評価)
監督「これが映画だ!」
これぞ映画だ!と言いきられまくる映画。
このスピード感と熱量は他に類をみない。
銀ちゃんの破天荒さと脆さ、やすの情けなさとひたむきさ、小夏の冷たい美と温もり。
演じ手の力量と演出の明確さが、それぞれのキャラクターが持つ幾つもの顔を愛すべき魅力に変え、最後までそれを光みなぎらせている。
言葉遊びとも感じられる台詞の攻防も楽しければ、演劇チックな場面展開も楽しい。
とにかく飽きることなく、猛スピードで喜怒哀楽を駆け巡らされる。
劇中音楽もまた秀逸。
こてこての台詞、わかりやすい笑い、どぎついほどの演出。
それをきっちりと支え「有り」判定にさせるのが、役者陣の映画俳優としての演技力。
自然体を求めるそれではなく、この映画では役者が役者らしく役を演じている。
それがまた実に気持ちがいい。
後半のヤスと小夏のやり合いなどは、息をのむほど熱く悲しい。
何よりあの銀ちゃんという破綻した役を、愛すべき人間として演じきった風間杜夫は見事。
作り手側の熱量にのぼせるしかない、これぞ昭和な超娯楽映画だ。
これを丸々つまらなかったと言えたら逆に驚く。
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