学校IIのレビュー・感想・評価
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包み込む優しさ
序盤と終盤、物語の端と端に高志と佑矢の大冒険、真ん中に核となるそれまでの話を厳しさよりも優しく丁寧な演出描写が印象的に思える山田洋次監督。
徹しきれない振り回されてばかりの永瀬正敏が一般的な人物像を演じている役柄にも、普通の感覚を割り当てる傾向で山田洋次が演出する永瀬が良くも悪くも人間らしくて大好きだ。
ディカプリオの『ギルバート・グレイプ』より早い吉岡秀隆の演技かと思いきやそれは大袈裟か、仕事を覚えるのが遅い、職場の環境に慣れない、対人関係での悩み、社会に出る事で起こり得る不安や葛藤など、リュー先生もコバちゃんや玲子先生も皆んなが日々を悩んでいる、少しずつ余裕が持て思いやりが中心になれたのなら隔てる必要のない世の中へと、厳しいばかりじゃ、甘い考えがより良き社会に繋がるかもしれない、甘いか!?
西田敏行の安定したキャラに微笑ましくも癒され、いしだあゆみの華奢ながら強い女性像が逞しくて、そんな二人のちょっとした場面に涙が出そうになりながら。
取り入れる才分
気球に乗って
風船は私達そのものの姿です
養護学校の生徒達
それは私達そのものです
こざかしい知恵の中身の生身の姿はこの子達とちっとも変わらない
悩み、苦しんで、出来なくて悔しくて
生きて行くのがとても苦しくて
わーっと衝動的に大声を上げて走り出したい時は誰にだってあること
それを抑えつけ、人に気取られないように暮らせることがほんの少しだけ上手いだけのこと
いつどうなるかなんて自分でもわからないものです
抑え込みすぎて心の病になる人だって身近に大勢います
この子達は大人になる前にそうなったに過ぎません
風船は憧れ
あんな風に自由に気ままに空を飛べたなら
どんなに幸せだろう
そんなことを考えるのは誰だっておなじ
精神の自由は人間総て平等です
冒頭の校庭とラストシーンの教室の窓の外に赤い風船が見えます
精神の自由を獲得する
それが本当の学校だというメッセージだと理解しました
そして風船は命の大切さ、儚さも表現していたのではないでしょうか?
高志は佑矢に独りで学校に帰れと言うのですが、自分は帰らないとレイコ先生に告げました
あの真冬の大雪の中、一体彼は独りぼっちで何処へ行くつもりだったのでしょう
彼は熱気球のように空に登っていくつもりだったのかも知れません
疲れ果てた高志は空に登って楽になりたかったのかも知れません
でも彼は天国の近くまで行って帰ってきてくれました
だから冒頭の風船は地面を這い、ラストシーンの風船は空中に留まったのです
風船はすぐに破裂したりします
割れなくても、すぐに萎んでしまいます
風が吹くと吹き飛ばされてしまいます
風の加減次第に自分でもどこに飛ばされるのかわからずに飛んでいってしまいます
天に登って消えてしまうものだってあります
それは養護学校の生徒だけのことでなく、
私達誰だって同じです
そのものの姿でもあります
ゴム風船のように、破裂しやすく、すぐに萎んでしまう、吹き飛ばされて、風に流される儚い存在
それが人間です
何も変わりはないのです
リュー先生だって、若い小林先生だって悩んで苦しんで生きているのです
レイコ先生だって本当は孤独でさびしいのです
それでも熱気球のように簡単には壊れない、一応コントロールできるようにもなれるかもしれない
自ら情熱の炎を燃やして熱気を気球に送り込んで上昇していくことができるのかもしれないのです
少し不安だけれども、熱気球が飛べば仲間達が追いかけて助けてくれるのです
遥か高みに登ってみれば、遥か十勝平野を一望できるように、人生を見晴らせるかも知れません
それを高志と私達は学んだのかも知れません
社会での生き辛さが伝わります。
あむろとかあゆとか
ヒューマンドラマ・・
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