劇場公開日 1959年6月23日

「鍵の意味が違う」鍵(1959) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0鍵の意味が違う

2020年8月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

日記は終盤の最後の最後にでてきて、婆さんが無実になるというだけの存在です
鍵はというと日記の入っている引き出しの鍵ではなくて、家の鍵です
なので原作の鍵のもつ大きな意味が、本作では良く分からない結果となってしまっています
それでもお互いが観察しあい、だましあい、どこまで分かっているのやらという骨格は失われていません

郁子と敏子
京マチ子の極めて細いつり上がった眉、
それに対して叶順子の太い眉
年増女と処女との性的魅力と木村への積極性の差の表現を強調するための表現で、メイクさんへの監督からの演出指示だと思います

剣持と木村
内実は高価な古美術品は借り物、屋敷は抵当
内実は空っぽの男
木村もまた、倫理感も金もコネも失い空っぽ
違いは年齢でしかなかったことを、中村鴈治郎と仲代達矢との対比を整理して映像化してあります

その手腕はやはり凄い監督だと思います

一番感嘆したのは、はな婆さんの北林谷栄
彼女撮影時48歳です
日本一の老け役だと思います

あき240