劇場公開日 1966年12月21日

「怪獣!忍者時代劇! どろんと化け出た面白さ!」怪竜大決戦 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5怪獣!忍者時代劇! どろんと化け出た面白さ!

2022年1月17日
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鑑賞方法:VOD

楽しい

単純

興奮

東映特撮1966年の作品。
東映特撮で本格的に“怪獣”が登場する初の作品。
登場するのは…

大竜!
大蛙!
大蜘蛛!
大鷲!
四大怪獣大決戦!
時は怪獣映画ブーム真っ只中。まさにド直球!
…と思いきや、基本は東映お家芸の時代劇。
つまり、時代劇×特撮怪獣モノ。
その時代劇も生真面目な時代劇じゃなく、忍者モノ。
ベースは忍者モノの古典と言われる“自雷也”。
登場する怪獣も“三すくみ”から。キャスティング事情でナメクジがクモに変更されているが、どろんと大ガマに化け、大竜はTHE怪獣。
古典忍者時代劇と特撮怪獣映画の忍法“合体”はうってつけであり、贅沢な娯楽味わい。

話は…
悪徳家老と家臣の忍者・大蛇丸の謀反によって無念の死を遂げた城主。
その遺児・雷丸にも刃が向けられるも、ガマ道人が遣わした大ワシに助けられる。
ガマ道人の下で忍術を学び、立派な若者に成長。
が、かつてガマ道人の弟子でもあった大蛇丸の手により師は殺される。
死の直前、出生や素性を打ち明け、“自雷也”と名を変え、雷丸の仇討ちの旅が始まった…!

特撮や忍術要素があるのは当然だが、話自体はオーソドックスな仇討ち時代劇。
主演は松方弘樹、仇に大友柳太郎。一本の上々の時代劇映画のような面子。
先述したように、堅苦しい時代劇ではない。
所々特撮技術がチープだったり、アクションが拙かったり、少年漫画的。
でもその分、テンポ良くて飽きはしない。
怪獣決戦は実はクライマックスくらい。
だけど、そこに至るまでの話が単純に面白い。寧ろ、怪獣云々よりこっちの方が面白かった。
童心に返って素直に楽しめたし、ツボを抑えた喜怒哀楽もある。
THEヒーローの雷丸=松方弘樹、悪役=大友柳太郎の存在感、ヒロイン・小川知子の美しさ、百兵衛さんの好助演…キャラもメリハリあって魅力。
確かに天下の東宝にゃあ敵わないが、特撮も頑張った方。特撮を駆使した忍術演出はユニーク。
クライマックスは怪獣決戦でたっぷりの見せ場。

実は見るのは20数年ぶり。その昔WOWOWで、東宝以外の特撮作品特集放送で見て以来。今回、U-NEXTにて。
その昔見た時も普通に面白かった。
今となっちゃあ誰も知らないマニアックな特撮作品かもしれないけど、これが娯楽ですよ、娯楽。

『モンスターズ』はこれを見て勉強しなさい!

近大