「カンゲワチ」快盗ルビイ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
カンゲワチ
イラストレーターの故・和田誠が映画監督デビュー作で描いたのは、非情な麻雀の世界。
続くこの第2作は、180℃真逆のロマコメ。
かなりコメディ色強いながらも、1988年のキネマ旬報ベストテン10位にもランクイン。
マンションで母親と暮らす冴えないサラリーマンの徹。のび太くんが大人になったような…。
ある日、一階上の階に越してきた人が。
しずかちゃん…ではなく、スタイリストの留美。“ルビィ”と呼んで、と明るくて美人で魅力的。親しくなるも、写真を勝手に盗んじゃいかんぜよ…。
実は、ある目的があるルビィ。
犯罪者になる事。
無理矢理徹を相棒にし、計画に引き入れる。
近場の商店のおじさんの金強奪、銀行襲撃、高級宝石店で詐欺…。
一応やってる事は大層だが、ことごとごとく失敗。銀行にて脅迫紙を出すも、それはお母さんから頼まれた買い物リストで、そりゃあ受付係から「ご要望に添えません」と言われるわな…。
一世一代の大計画!
パーティーが開かれる高級マンションに忍び込むも、徹が一室の浴室に閉じ込められてしまう。またしても失敗…。
ルビィが修理業者に扮して助けに来たのに、徹は呑気にバスタイム。オイオイ…。
ルビィには恋人が。別れを決意し、手紙を出す。
が、後悔し、徹にそれを回収してくるよう頼む。
不審者と間違われ、警察に逮捕。
口からでまかせ。手紙には危険な薬品や病気が付いてる、と。
粋な鑑識の先生の機転で釈放。
でも、まんざら間違ってはいない。
徹はいつの間にか病に犯されていたのだ。
“カンゲワチ”という、男女間に起きる病。
小泉今日子&真田広之!
なんてたってキョンキョン!
所謂小悪魔系だけど、それがまた可愛い!
なんてたってアイドル!
今や世界で活躍する真田広之の、冴えない役柄のコメディは新鮮。
そして中盤の、二人が歌うミュージカルは超レアシーン!
本作自体DVDやVHSも絶版らしいので、いつぞやWOWOWで録画しておいて良かった~!
往年のハリウッドにはよくあった犯罪×ロマコメ。
邦画ではお目に掛かれないと思っていた。
が、この魅力的な時代とキャストと作風、お洒落な形で。
あのインターポールの名警部の台詞を借りるなら、
「ルビィたちはとんでもないものを盗んでいきました。私たちの心です」