劇場公開日 1963年12月22日

「改めて本作を巨視的に俯瞰して観ると、色々と見えて来るものがあります」海底軍艦 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0改めて本作を巨視的に俯瞰して観ると、色々と見えて来るものがあります

2020年1月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

突っ込み所は満載ですが、東宝特撮シリーズはそんなことを気にしては楽しめません
巨視的な視点で楽しむべきです

とにかく海底軍艦がカッコ良すぎです
世界中の特撮好きはこの海底軍艦のフォルムに魅せられているのです
男の子なら誰でも海底軍艦のような万能戦艦の絵を、子供の頃に一生懸命書いた事が有るはずです
詳細な内部構造図まで書いて

そのフォルムは大抵海底軍艦が基本的なフォルムで共通していました
巨大な円筒形、先端にドリル、後尾にはロケットエンジンのノズルです
どこかで見かけた本作の海底軍艦のイメージがそうさせているのかも知れません

しかしこれはフロイト的な深層心理がもたらしているフォルムなのだと思います
つまりこれは形を変えた男性器なのです
それが空を飛ぶ
空を飛ぶ夢はフロイト的には性的な夢であることは常識です
そしてドリルは言わずもがなです
だから、海底軍艦は世界的に男の子の憧れなのだと思います

このように巨視的に改めて本作の物語も俯瞰してみると、色々と見えて来るものがあります

ムー帝国は戦争を放棄した平和憲法の日本侵略を意図します
邪魔になるのは正規の軍隊ではないけれども、軍備を持つ組織です
ムー帝国はその解散を要求するのです
結局、日本は国際社会の承認を得て、その軍備に出動を要請します
侵略は開始されます
まず離島にコマンド部隊が上陸し占領を始めます
避難する住民達は警察に制圧を求めますが、警官は強盗とは訳が違うんだぞと為すすべが無いことが明示されています
なんと敵の上陸部隊はドローンを使用した攻撃を行っています
そして、日本の心臓部、丸の内に攻撃が加えられます
映像は地下からの攻撃ですが、巨視的に観れば通常弾頭での弾道ミサイル攻撃を受けたように見えます
海底軍艦の反撃はどうでしょう
なんとムー帝国に斬首作戦を行い、皇帝を捕虜にしているではありませんか
そして、敵の軍事的策源地にピンポイントで攻撃を行います
現代の軍事理論でいうところのRMAの考え方その物です

本作の冒頭は来年に東京オリンピックを控えて首都高など近代的に再建され経済的に発展した日本の首都東京を背景に劇が進行します

つまり憲法9条の精神だけで安心していては、最早この繁栄を取り戻した日本の安全を却って危険にさらしているのではないのか?
海底軍艦のように平和憲法と相容れないようであっても、強力な自衛力の保持が不可欠ではないのか?
そのようなメッセージを発しているように思われます

まあそんなことはともかく
東宝特撮シリーズなんです
小難しいことは頭から追い出して、海底軍艦のカッコ良さに酔いしれましょう!

あき240