「東宝8.15シリーズ最後の作品」海軍特別年少兵 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
東宝8.15シリーズ最後の作品
武山海兵団に入隊してきたのは14歳の少年達。みな純粋で分別のつかない少年兵であったが、座学と厳しい教練を乗り越え、最後には硫黄島への実戦に赴く。
鬼の工藤(地井武男)教班長と仏の吉永(佐々木勝彦)中尉。教育においても、まだ国民学校の感覚が残ってる少年兵たちにどう接するべきか二人は意見が食い違う。“愛か、力か”と異なる教育方針。しかし鬼であるはずの工藤も彼らが貧しい家庭の者ばかりだと知り、一人の自殺者を出したことで苦悩するという展開。
各家庭の様子も少ないものの描き出され、親を助けるため、“アカ”と呼ばれる父親の汚名返上に身を捧げる者、姉と二人ほとんど孤児である者、将校・下士官のように裕福じゃない家庭ばかりだ。
貧乏人は税金ばかり取られ、国からは何もしてもらってない。という言葉に「日本軍がお前らを守っている」という憲兵の言葉。何だ、今の世と変わらないじゃないか!学徒動員と同じく、少年まで駆り出す敗戦濃厚な太平洋戦争末期。国のため、名誉のため、金のためと、とにかく少年達は戦争に向かう。
戦場でのリアルさは感じられないものの、少年たちが兵士になるしかなかった時代を思うと胸が痛む。工藤は最後に突撃させないように匿おうとするが、少年たちは教え通りに玉砕の道を選ぶのだった。教師2人の思いやり、さらに三国廉太郎と小川真由美の好演が光る。
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