女が階段を上る時のレビュー・感想・評価
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負けちゃだめだ
「昼のバーは女の素顔だ」などというインパクトのある語りから始まる。高度経済成長期の時代、翳りも出た頃であろうか、上客を失うのは惜しい。ライバルの店となったが敵状視察とかつての客と乗り込んでみた圭子だが、嫌気がさしたのか、やがて店を移る。
ややあって自分の店を出さないかと持ちかけられ、占い師にも占ってもらうのだが、ユリが自殺してしまったという話を聞いてしまう。マネージャー小松(仲代)との会話が銀座の夜の世界を達観したようなウンチクがあり興味深いところ。藤崎という男に惚れてしまってからはいつもの生活も調子が悪い。プロに徹することができるかどうかが成功の鍵をにぎる世界。負けちゃだめだ。
現代風にアレンジしてもいけそう
銀座のクラブで女が登りつめる為に必要な要素は何か?
男が一時の愉しみを享受する為に、手練手管を使いこなす。
一見華やかな世界ではあるが、その裏にあるのは華やかさとは名ばかりの厳しい現実と、きな臭い噂話等の入り混じった混沌とした世界である。
この映画の主人公である高峰秀子は雇われマダムではあっても、銀座の中ではまずまず名の通った存在です。
死んだ夫に忠誠を誓い、決して男に媚びる事無く成り上がって来た。
そんな彼女では在るが、些細な積み重ねでついつい、女としての悲しい性を色々と露わにしてしまう。
脚本家の菊島隆三が製作も兼ね。主演の高峰秀子がナレーションを勤めている。再三お店が有るビルの階段を上る際に、彼女のナレーションによって現在の心境等が語られる為に、サスペンス色が強められて観客の気持ちも引き付ける結果になっています。
主演の高峰秀子は衣装も担当していて、気合いの入ったBARのマダム役。
本音ではいつでも辞めようとしながらも、恋する女としての弱い一面と同時に、家族との切っても切れない縁の為に辞めるに辞められ無い役所は絶品でした。
有能にして心の中でマダムを愛しているマネージャー役の仲代達矢。
なかなか本音を言わない銀行の頭取役に森雅之。
そして、見た目はパッとしないが、実は女たらしの加東大介が儲け役。
これは、現代風にアレンジしても充分に行ける程面白い内容の傑作でしょう。
高峰秀子の最高作と思います
浮雲やカルメン故郷に帰る
より好きですね
僕は
おもてなし
て苦手で
特に女性の接客業生理的に嫌い
なんか性差別の匂いが
嫌なんですね
唯一バーのホステスとか許せて
対価に見合う点で許せる
でも本作はバーの階段を上る時
やるせないんですね
考え改めます 笑
加藤大介が脇役ですが良いです
喜劇でもシリアスでも良い人役の
イメージですが
本作では女から見て一番始末が悪い
年老いた母が生理的に嫌い、
と言う意味 これも初めて合点がいった
したたかな女とズルい男の大人の愛の物語
成瀬作品は本当に抒情豊かだ。どんな待遇にあろうとも、儚く、強く、愛情豊かで時にずるく立ち回るが、気高く、品ある女性・・・。こんな女性を描ける成瀬監督と、それを演じられる高峰秀子の素晴らしさ!
銀座のバーの雇われマダムの生活は、華やかな見た目とは裏腹に、様々な苦労が絶えない。高価な着物や香水、贅沢なマンション生活はすべて”職業上の必要経費”だ。借金を抱えた家族を養い、病気で寝ていても請求書の夢にうなされるほどだ。そして絶えず男たちに言い寄られる毎日。嫌な客のあしらい方を身につけ、銀座のバーという世界で生きる女・・・。2階にある店へ階段を上る時、いつもそれなりの覚悟を決めなければならない彼女にとても共感を持つ。時折差し挟まれる、高峰本人による、ちょっとくたびれたハスキーヴォイスのナレーションが、彼女の心情を冷静に表現され、なんだか切ない気持ちにさせられる。
さて、そんなしたたかに生きる女たちに、下心で近づいてくるズルい男たち。どんなに強い意志を持っていても、たまには心に隙間が出来る。男たちはなんとその隙を見逃さないことか!女性の描き方が上手い成瀬だが、男のズルさを描かせても天下一品だ。特に森演じるヒロインの想い人のズルさといったら半端じゃない。ヒロインがついに彼に体を許してしまうのは、他の男に騙されて気落ちをしていたからだけではない、長年想いを寄せていたから。それを知りつつ付け入り、翌朝「大阪に転勤になった」とあっさり言い放つ男の酷さ。しかも「夕べのうちに言い出せず、こういうことになった俺はズルい男さ」と、予防線をはれるほど世慣れた男。これで女は男をなじることすらできなくなる。私は、男女の機微が情感豊かに描かれるこの2人のシーンがとても好きだ。黛敏郎の乾いた質感の音楽効果も相まって、大人の男と女の最低な関係を、ドロドロとネチっこく描写せずに、あくまでも都会的にスタイリッシュに描くセンスの良さ。
銀座に生きる女は、どんなに男に騙されても泣き寝入りはしない。男が大阪に旅立つ日、駅のホームに見送りに来る女。男の妻とにこやかに対峙する姿のしたたかさ。そうして彼女は、また1つ階段を上るのだ、その先に何が待っていようとも・・・・。
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