面影三四郎

劇場公開日:

解説

企画は「殺すが如く」の土井逸雄が担当、「姿三四郎」の原作者富田常雄の原案から、「小判鮫・前篇」「小判鮫・後篇」「新妻会議」の八住利雄が脚本を執筆「三面鏡の恐怖」「新愛染かつら」についで久松静児が監督し、撮影は「新愛染かつら」の高橋通夫が担当、主演「月光城の盗賊」「群狼」の藤田進「情熱の人魚」の若杉須美子の外「男が血を見た時(1949)」の伊沢一郎、河津清三郎、見明凡太朗、美奈川麗子がそれぞれ助演する。

1949年製作/82分/日本
配給:大映
劇場公開日:1949年3月20日

ストーリー

姿三四郎得意の技「山嵐」を受けつぎ面影三四郎の名をうたわれる江南大学主将宇津木は山稜大学の柔道試合で主将小坂を山嵐で投げ、戦場へおもむく--それから四年、敗戦、復員姿の宇津木は悲惨な戦争で家も肉親も失い、ぼう然と街にたたずんでいると、昔世話になった土木請負業伊島組の娘虹子に会う。往時盛んな出入りのあった伊島組も親分が病に倒れてから子分がぞくぞく離れ、中でも田辺はこの界隈のマーケットのボスとして暴威を振るい、宇津木の得意な暴力を求めて一仕事しようとたくらみ、盛んに誘惑する。ある日昔伊島組から受けた恩義を忘れず今でも色々世話をみている魚屋の惣七が田辺に反抗したので、田辺は子分と宇津木を惣七の所に差し向ける。無意識に宇津木はそこで抵抗する惣七を投げ飛ばすが、はからずも四年前彼の暴力で無惨にも片足を折った小坂と妹登美にあい「柔道は立派なスポーツだ、だが君はただ勝てば、倒せば、いいと考えていた。それが暴力だ」と悟れる。その夜田辺一家に襲われても、彼は無抵抗で彼等の振るう暴力の下に屈した。その場にいあわせた登美は宇津木を力づけ孤独な彼の生活に対し温かい同情を寄せるが運よく彼の体力に則したリンタク業がみつかり働くかたわら登美からキリスト教の感化を受け、今まで無知で暴力を振るった事を悟り登美に暴力として柔道を使わない事を誓う。宇津木の心は温かい登美の心に次第に引かれていく。一方田辺は伊島組の看板と虹子をわがものにしようと謀計し、虹子を誘惑するが失敗し、かえって彼女の口から宇津木を愛していることを知り、怒り狂い、病で口も聞けない伊島を散々いじめる。居合わせた惣七が見かねて彼と闘うが、ドスの前に無惨に倒される。益々暴威を振るう田辺は宇津木らのリンタクの溜まり場をも襲い、無抵抗の宇津木をせせら笑った。彼等の暴行と自分の叔父惣七の死骸不明の件で沈黙していた小坂は登美の制止を払いのけ田辺の所へおもむくが、子分達のために散々な目にあう。その時虹子からすべてを聞いた宇津木は彼等の横暴に我慢し切れず、登美との固いいましめを破り得意の山嵐で田辺一家を投げ飛ばしているうち、登美の知らせで駆けつけた警官隊に彼等はもろくも捕縛される。この事件以来虹子は宇津木と登美の真実な愛を知り彼女はすべてを悲しくあきらめる。

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