「【”恋愛に対する男の見栄と、女の本音。”寅さんシリーズの名キャラクター総出演作。”寅さんシリーズ”は日本が世界に誇るヒューマンコメディドラマシリーズと言っても、過言ではないと思います。】」男はつらいよ 寅次郎紅の花 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”恋愛に対する男の見栄と、女の本音。”寅さんシリーズの名キャラクター総出演作。”寅さんシリーズ”は日本が世界に誇るヒューマンコメディドラマシリーズと言っても、過言ではないと思います。】
■泉(後藤久美子)が結婚してしまうという知らせに、満男は自分を止めることができず、津山まで行き、泉が募隠しを纏い乗った車を、正面からレンタカーで押し返し、結婚を破談にしてしまう。
失意の満男は奄美まで旅を続け、そこでひとりの女性、リリー(浅丘ルリ子)と知り合い、彼女の家を訪れるとそこに伯父の寅次郎(渥美清)がいた。彼はこの奄美でリリーと生活していたのである。
◆感想<Caution!内容に触れていません。>
・年代的に”寅さんシリーズ”を映画館で観たのは、最終作のみである。既に渥美清さんは亡く、過去のフィルムを使った作品であったが、面白かったものである。
・それに当たり、少し前から配信で”寅さんシリーズ”を初作から鑑賞した。随分前に公共放送で寅さんシリーズを放映した時は、数作を楽しく観たのだが、そんなに響かなかったのだが、オジサンになってから鑑賞すると、これが実に沁みるのである。
・所謂、”とらや”で、おいちゃん、おばちゃん、さくら、タコ社長の前で繰り広げる”寅さんのアリア”と呼ばれる、流れる様に渥美さんの口から語られる面白き物語の数々。
それを聴き、皆は大笑いし、時に涙ぐむのである。
■”寅さんシリーズ”を観て思うのは、山田洋次監督の人間の善性を軸にした、唯一無二の、この世界観を作り上げた凄さである。
そして、高度経済成長期に日本を支えたお父さんたちや、多くの方々は、お盆と正月に”寅さんシリーズ”を劇場で観て、元気を貰ったのではないかなあ、という事である。
・余りこういう事は書きたくはないが、読んだ本によると今作の数作前から、渥美さんの体調は悪く、ロケの際も休憩時間には一言も話さずに横になっていたそうである。
山田監督は、そんな渥美さんを気遣いロケは半日で、台詞も最小限にしたそうであるが、今作を観ると、渥美さんはそのような姿を見せない。正にプロフェッショナルだと思う。
<今作では、冒頭に阪神淡路大震災の際にボランティアとして活躍する寅さんの姿がTVに映り、とらやの皆は寅さんが元気な姿を見てホッとするのだが、ラストでも寅さんは、長田区の冒頭に出て来たパン屋さんを訪ね、その苦労を労うのである。
”寅さんシリーズ”を観て学んだのは、人間として、
1.困った人には声を掛け、(お金がなくても)助ける。
2.義理と人情を大切にする。(但し、やり過ぎない。)
3.親類の健康を常に気にする。そして、時折連絡を入れ、安否を確認する。
今では、希薄になりつつある、日本人の良いところが”寅さんシリーズ”には詰まっていると私は思うのであります。
日本が世界に誇るヒューマンドラマシリーズと言っても、過言ではないと思います。>