「若い心には炎が燃えている。」男はつらいよ 寅次郎の休日 syu32さんの映画レビュー(感想・評価)
若い心には炎が燃えている。
「男はつらいよ」シリーズ第43作。
Huluで「HDリマスター版」を鑑賞。
本作から年一作ペースの公開となりました。
「男はつらいよ」から夏が無くなってしまいました…。
いよいよ、別れのときが近付いて来たんだなぁ…。
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久し振りに夢のシーンでスタート!
ちょっと安心しました…。
若い心には炎が燃えている。
そこへ「恋」を投げ込めば、もう消すことは不可能…!
泉ちゃんが上京。舞い上がる満男(笑)
今は佐賀の親戚の元を離れ、名古屋で母親と暮らしているという…。東京へ来たのは、女をつくって出て行った父親を連れ戻すためだということで、満男も手伝うことにしました。ところが勤め先を既に退職していて、今はその女性と共に大分県の日田に移り住んでいるそうな…。
消沈の泉ちゃんでしたがさくらたちに説得され、名古屋に帰ることにしました。しかし、東京駅のホームで見送ろうとしていた満男に見せた切符の行き先はなんと博多! 諦め切れず、やっぱり日田に行こうとしていたのでした。咄嗟に新幹線に乗り込んだ満男、驚きながらもそれを嬉しく思う泉ちゃん…。ふたりの様子にほっこりしました。ここでも徳永英明!(笑)
一方、知らせを受けたさくらたちは大騒ぎ。ところが寅さんは別段驚くでも無く…。「そうなるだろうと思ってたよ」とばかりに、まるで見て来たかのように東京駅新幹線ホームの出来事を自慢のアリアで聴かせてくれるのでした…(笑) そこへ入れ違いに泉ちゃんの母・礼子が訪ねて来たことで、寅さんと一緒に日田へ急行するのでした。
日田で再会した父親は、恋人と慎ましくも幸せな生活を送っていました。その姿を見てしまうと「戻って来て」と言うことも出来ず、辛いけれども区切りを付けて帰ろうとしたところで、ふたりを探す寅さんと礼子とバッタリ遭遇して同じ旅館に泊まることになりました。その旅館での一夜を描くシーンが印象的でした。女の悲哀、男の恋情…。
満男と泉ちゃん―。
取り敢えずふたりの恋はそれほど進展しませんでしたが、その前途には揚々たるものが待っていそうな予感が…。しかし、一筋縄では行かないのが人生というものの恐ろしさよ…。
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本作でまたもや名言が誕生しました。
「困ったことがあったら風に向かって俺の名前を呼べ…」
カッコ良過ぎるぜ、寅さん!(泣)
ラストの満男の哲学的モノローグ―幸せとは何ぞや?
人とは、幸せ求めてもがく生き物…。