劇場公開日 1989年12月27日

「【”浪人生の満男もつらいよ”シリーズの主軸が寅さんから満男にシフトしていく最初の作品。そして、今作でも寅さんの名言は心に響くのである。】」男はつらいよ ぼくの伯父さん NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”浪人生の満男もつらいよ”シリーズの主軸が寅さんから満男にシフトしていく最初の作品。そして、今作でも寅さんの名言は心に響くのである。】

2024年7月15日
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鑑賞方法:VOD

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■浪人中のおいっ子・満男(吉岡秀隆)は高校の年下の女の子、泉(後藤久美子)への想いで悩んでいた。
 そんな彼の悩みを聞こうと飲み屋に連れて行き、べろんべろんになるまで酒を呑ませたことでとらやの皆から文句を言われた寅さんは、怒って旅に出る。
 しかしたどり着いた佐賀の宿で満男と相部屋となる。
 親の離婚で東京から名古屋へ。更に佐賀に一人で過ごす後輩・泉に会いに来たというのだった。

◆感想

・今作から寅さんシリーズは、満男の物語が中心になる。何だか寂しいが、渥美清さんの体調を考慮してのことだと、資料にある。

・だが、満男を演じた吉岡秀隆と当時大人気だった後藤久美子の恋仲を描くことで、寅さんシリーズは最終章に入って行くのである。

■今作でも、寅さんの名セリフは健在である。満男が恋するあまり泉の事ばかり考えていると言い、”僕は醜いんだ。”と言った時に、”自分を醜いと知った人間は、醜くない。”と励ましたり、九州の高校教師の寿子の夫から苦言を呈された時も、寅さんは満男の想いを口にするのである。”私は、恋した女性を心配する甥の事を、褒めてやりたいと思います。”
 人生と恋を良く知る良い、伯父さんである。満男が尊敬するのも良く分かるのである。

・今作品に、趣を与えているのは、、矢張り九州で暮らす泉の叔母寿子を演じた檀ふみさんの清楚な存在感であろう。
 檀ふみさんの父である、私の好きな檀一雄が愛した九州が何だか似合うし、高校教師の夫(尾藤イサオ)のツレナイ態度を補完する満男と寅さんに対する優しさが良い。

<メインストーリーとは、全く関係が無いが劇中どぜう屋の店員を演じた戸川純さんが、登場した時はビックリした。
 戸川純さんが、ボーカルだった「ゲルニカ」や「ヤプーズ」は好きだったなあ。
 そういえば、私が寅さんシリーズを唯一映画館で観た最終作で、後藤久美子さんが登場したシーンも、何だか懐かしいなあ。>

NOBU
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