「誠実と恋慕の間で」男はつらいよ 寅次郎真実一路 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
誠実と恋慕の間で
シリーズ34作目。
OPの夢に、遂に怪獣登場。
何処かで見た事ある松竹唯一の怪獣が現れ、人類は為す術ナシ。日本政府はかつて学会を追われた車寅次郎博士に協力を乞うが…。
たかだか数分の寸劇ながら、怪獣映画のあるあるを踏襲。
ちなみにこの年(1984年末)はゴジラが9年振りに復活した年でもある。
序盤の騒動は、あけみの夫婦喧嘩。さくらたちやタコ社長がなだめ、何とか治まり掛けた所へ、寅さんが帰って来てあけみの肩を持ち、再び大揉め&大喧嘩。
御前様が両成敗。
気分晴らしに呑みに出掛けた寅さんだが、無一文。電話でさくらに断られる。
一晩警察にお世話になろうとした時、隣席の中年サラリーマンが奢ってくれる事に。意気投合し、今度改めて呑みましょうと名刺を貰う。
翌日お礼に行くと…
男は一流証券会社の課長。
朝は早く夜は遅い、大変な仕事。
約束通り呑み交わし、べろんべろんに。
翌朝起きると、見知らぬ家に。そこは、茨城県牛久沼にある課長の家。
課長はすでに出勤。世話してくれたのは…
課長の美人奥さん、ふじ子。
寅さんの鉄則は、惚れる相手は独り身。相手が独り身かどうか、「ご主人によろしく」など聞いて、さりげな~く探りを入れるほど。
が、今回は珍しく…いや、初めて、惚れた相手は人妻。
それも無理はない。だって、大原麗子だもの。
2度目のマドンナ役で、本作でも色っぽい魅力を発揮。
課長役には、こちらも何度か脇役出演している米倉斉加年。ユーモアと悲哀滲ませる好演。
課長が蒸発した! ある日仕事に行ったっきり、出社せず家にも帰っていない。
働くだけの毎日にノイローゼに…?
心配するふじ子を励ます寅さん。
そんな時、課長が故郷の鹿児島に居るとの報せが。
ふじ子は鹿児島へ。寅さんも同行。
さくらたちは心配でしょうがない二人旅…。
郷愁誘う鹿児島の風景…。
思い出の地などあちこち訪ね回るが、結局見付からず。
帰って来てから、元気の無い寅さん。と言うのも…
ふじ子の為に何とかして課長を見付けてやりたい。
その一方で、ふじ子への恋心。
もし、このまま課長が帰らねば…。
そんな絶対思ってはいけない事を心の何処かで思い、醜くて愚かな自分を責める。
そんな時、課長が帰って来て…。
人妻に想いを寄せた事は否めない。
でも結果的に、夫婦の再スタートに一役買った。
これで良かったのだ。
ラスト、旅を続ける寅さんは、晴れ晴れと。
近大さんへ。
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
「宇宙大怪獣ギララ」はまだ観たことありませんが、まさかの登場に驚きました。
しかもタコ総理(笑)が「ゴジラだ!」って言いますし、寅さんが起きたら目の前にゴジラのマスク(息子ゴジ仕様?)を被った子供がいるしで、近大さんの仰る通り完全に意識しているなと思いました(笑)