「「未来の幸せを考えてみたい」」男はつらいよ 柴又慕情 komasaさんの映画レビュー(感想・評価)
「未来の幸せを考えてみたい」
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高校で国語を教えて頂いた先生はサユリストだった。授業中、遠くを見るような目をして吉永小百合の素晴らしさを語っていた。当時の私には分からなかったが、ようやく恩師の蒔いた種が芽吹いたのだろうか。花冠でおどけて見せる彼女の表情に思わず「何か良い」と思ってしまった。
歌子の父親の心境については、野暮な説明は入れず、少ない出番と博の言葉で分からせる演出。きっと父親も、このまま娘を家に縛り付けていてはいけないと分かっていたのだろう。しかし、自分の気持ちを素直に口にできない性分と、もう少し娘とこのままで居たいという気持ちでずるずるとここまで来たのだろう。夜中の自分の行動で娘が原稿の進捗を察していたと知ったときは、分かれた妻と重ねつつ、手元に置きすぎたことへの申し訳無さを感じたに違いない。
娘が去った後、とらやで娘からの手紙を読ませてもらう。脇にいた満男を遠からずできるであろう孫と重ねる表情に、清々しさを感じた。
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