男はつらいよ 寅次郎恋歌のレビュー・感想・評価
全14件を表示
是非本作と第32作をセットでご覧下さい
第8作 男はつらいよ 寅次郎恋歌
1971年年末公開
寅さんが結婚して家庭を持ちたくなるというお話です
博の母の葬儀をきっかけにして、大学を定年退職後、郷里の岡山県は備中高梁のお屋敷に1人で孤独に暮らす博の父と寅さんの交流が始まります
10年ほど前、安曇野の庭一杯にりんどうが咲く一軒家の農家の開け放した縁側から明かりのついた茶の間で食事をしているのが見えたとき、これが本当の人間の生活というものかと涙した
その思い出をしみじみと語る博の父の言葉に寅さんはいたく感化されてしまいます
人間は絶対に一人では生きてはいけない
逆らってはいかん
人間は人間の運命に逆らってはいかん
そこに早く気がつかないと不幸な一生を送ることになる
志村喬だからこその説得力を持つ名シーンでした
それで寅さんは結婚して家庭を持ちたくなったのです
今回のマドンナは池内淳子
出演時38歳
上品で清楚で着物姿が美しい
広くて形のよい丸い額が高い知性を感じさせます
なのに色気が匂い立っているのです
そしてその額の下の大きな目が見つめて話すその言葉遣いが姿形と同じほどに美しいのです
でもイントネーションは江戸っ子だとわかるものです
柴又にはいないタイプ
あの御前様でさえすれ違った際に、つい二度見してしまうほど
池内淳子は長い芸歴でその演技は群を抜いた安定感があります
この当時はテレビ女優ナンバーワンで、出演すれば高視聴率間違いなしと言われたのも当然だと思えます
この彼女が帝釈天の脇に新しくできた喫茶店のママさん役
しかもお誂え向きに未亡人
小学3年生の男の子がいますが、寅さんにすぐなついてしまう
もう展開がいつも通りと分かってしまいます
結局、寅さんから身を引く形で旅にでて終わります
冒頭の惨めな旅の一座とのパートは、貴子が昔から旅の一座になりたかったことを寅さんが聞いて我に返る為にあった訳です
こんな俺や旅の一座のような人間の運命にこの人を引きずり込んではいけない
だってりんどうの花言葉は「誠実」なんです
彼女を自分のような稼業の世界に引き込んではいけない
自分の欲望の為に女性を不幸にはできない、それが寅さんの誠実なんです
これが俺の人間の運命なんだ
これに逆らってはいけない
不幸な一生にこの人もなってしまう
そんなことはできないんだという思いを噛みしめながら、寅さんは秋晴れの朝日を浴びています
寅さんが昨晩泊めてもらった農家は婆さんの独り住まいのようです
きっと、寅さんはりんどうが庭一杯に咲いて開け放した縁側から見える明々とした茶の間で子供たちと食卓を囲む一軒家の農家はないものかと探していたに違いありません
でもいくら探しても見つからずここに泊めてもらったのでしょう
りんどうは一本もない畑の中の一軒家です
まあ俺はやっぱりこういう運命なんだよなあと諦めの顔で朝日を見上げています
そこに冒頭の旅の一座が通りかかって再会をよろこび、トラックの荷台に載せてもらって一緒に今晩の宿をとるようです
一座もなんとか巡業を続けているようだ、俺も身ひとつでなんとか生きていけらあ
「ね、先生、これが寅次郎って人間の運命なんですよ」
「人間は人間の運命って奴に逆らっちゃあ、いけないんでしょ、先生」
そんな寅さんの心の声が聞こえてきます
そこでエンドマークとなり映画は終わります
ところがこのお話、続きがあります
それは1983年の第32作「男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎」です
本作からから12年後の超ロングパスになります
舞台は今回と同じ備中高梁
あれから博の父はどうなったのか
それが語られます
本作でチラリと写った白神食品店がその作品では主要人物の家として登場したり、本作では博の母の通夜と葬儀をした屋敷も登場します
踏切近くの小川に架かる小さな石橋もドラマチックなシーンの舞台になります
その作品で寅さんはまたも人間の運命について考えるのです
今度はりんどうの咲く農家の食卓ではなく、取り込み忘れた家族の洗濯物の形となって、寅さんに人間の運命についてもう一度考えさせるのです
この第32作で、自分には本作の物語がやっと完全に閉じられたと実感する事ができました
是非本作と第32作をセットでご覧下さい
タイトルの寅次郎恋歌とは?
終盤の寅次郎のハガキの事だと思います
汚い字でハガキ一杯に書いてありました
寅さんに学があったなら、きっと「りんどうの‥…」てな感じの和歌を書いて送ってたんだろうと言うことだと思います
自分も学がないので探してみたらこんなのがありました
「りんだうの 花とも人を 見てしかな かれやははつる 霜がくれつつ」
和泉式部
(あの人を)りんどうの花であると見たいものです
りんどうは霜が降りても枯れはしないのですから
寅さんがハガキに書きたかったのはこういうことだったと思います
森川のおいちゃん
今作がおいちゃん役森川信さんの遺作になったと後で知りました。寅さん(渥美清)との丁々発止はとても迫力があって、それ故に一筋縄ではいかない義理人情の物語になっていたように思います。今作のヒロイン六波羅貴子役の池内淳子さんの気品ある雰囲気には昭和の香りがあって、いいですよね~。「男はつらいよ」シリーズは、年に1、2本ずつ観ていて、いつか50作を見終えると思いますが、その頃には始めに見た作品の内容を忘れている気がします(苦笑)。ってことは、ずっと見続けられるのかな…。
さくらの健気さには脱帽
これだけシリーズを見続けるとさくらのお兄ちゃん想いに感心させられる。(3作ぐらいで十分感じるが)😅
これだけ好き勝手して、叔父ちゃんと事あるごとに漫才のような口論になるが、さくらはどんな状況でもお兄ちゃんの味方。
こんな妹おるか???
羨ましいから映画のキャラとして際立ちます。
現代ならあっさり見捨てられるのが寅さんでしょう。
昭和は人と人の心が通い、人のためならと身上投げ打ってでも役に立ってあげたい、そんな生身の時代でした。
屈指の名シーン。
池内淳子名演。合掌。
女手一つで切り盛りする小さな喫茶店、元気無い息子が寅のおかげでたくさんの友達を連れて賑やかに帰ってくる。
皆にジュースを振舞う時の泣き笑い。
思い出すだけでグッとくる。
シリーズ全編通しても屈指の名シーン。
おい、まくら、さくらの回(笑) ・オープニングとエンディングの劇団...
おい、まくら、さくらの回(笑)
・オープニングとエンディングの劇団との関係、ちゃんと繋がっている。これ以降の作にも登場する模様、楽しみ。
・あんまり勉強しないと寅さんみたいになっちゃうよ
・おいちゃん大活躍。寅との喧嘩。今作が最後なんですね、感慨深い。
・博の母葬儀。困惑のさくら。博の母は幸福だったか、重い。
・名優志村喬、リンドウの花。定住、漂白、どちらが幸せ、深い。
・子どもに人気の寅。精神年齢(笑)
・振られない寅、新しい。
やっぱりさくらが一番眩しい。こんな妹欲しかった(毎回言ってる 笑)
山田洋次監督は劇場の客やお茶の間の視聴者がイライラ、ジリジリするのを何もしないで放ったらかしにする放置プレイの名手だと思う。
BSテレ東で映画「男はつらいよ 寅次郎恋歌」(1971)を見た。
劇場公開日:1971年11月20日
1971年製作/114分/日本
原題:Tora-san's Love Call
配給:松竹
渥美清
倍賞千恵子
森川信
笠智衆
前田吟
梅本泰靖
穂積隆信
吉田義夫
三崎千恵子
太宰久雄
中沢祐喜
岡本茉利
谷村昌彦
志村喬
池内淳子
例によって車寅次郎は半年ぶりで故郷柴又へ帰ってきた。一同は歓迎したつもりだったが、些細な言葉のゆき違いから竜造やつねと喧嘩となり、又もや旅にでることになった。寅が去って静かになったある日、博の母が危篤という電報が入り、光男を竜造夫婦に託した博とさくらは岡山へ急いだ。博の父の[風票]一郎は元大学教授で、研究一筋に生きてきた学者だった。葬式の日、驚ろいたことに寅がヒョッコリ現われた。柴又に電話したことから、葬式のことを知り、近くまできていたから寄ったという。
新型コロナウイルスのために自粛生活が続く中、日常の楽しみは少ない。
毎週土曜日にテレビ東京で見られる「男はつらいよ」シリーズは本当にありがたい。
どの作品でも思うことは倍賞千恵子がとても美女で、
前田吟がすごくイケメンであること。
毎回登場するマドンナは当代の人気美人女優なのはもちろんである。
今作のマドンナは池内淳子。
ゲストの志村喬の存在感を大きく感じる。
おんなひとりで小学生の息子を育てながら喫茶店を経営する池内淳子には借金問題がある。
寅さんはそれに気づきながら何もしないでそこから逃げだしてしまう。
「全く馬鹿だねえあいつは!」
おいちゃんがそう言う前にTVの前にいるオレがいつも言ってしまう。
山田洋次は劇場の客やお茶の間の視聴者がイライラ、ジリジリするのを何もしないで放ったらかしにする放置プレイの名手だと思う。
その手法は現在でもまだ製作が続いている「家族はつらいよ」シリーズにも踏襲されている。
上映時間は114分。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
来週の「男はつらいよ 柴又慕情」(1972)マドンナ 吉永小百合
が楽しみ。
寅さんシリーズのなかでも、より哲学を感じる作品
Amazon Primeで視聴。
定番の寅さんシリーズの面白さに加え、博の父役の志村喬さんの存在感、世界観がなんとも豪華です。
お母さん想いである博の優しさも胸が痛みました。「お母さんを東京に越させて東京の華やかな世界を味合わせてやりたかった」という言葉が重く心に残りました。
源公がいない!
博の父役で志村喬登場。マドンナは池内淳子で、役名が六波羅貴子なので経営する喫茶店の名前が「ローク」。
旅役者の父娘との交流は本作から開始。おいちゃん役の森川信は本作が最後。源公役の佐藤蛾次郎が出ていなかった。事故にあってたらしい。唯一出てないのが本作らしい。
破茶滅茶ぶりは相変わらずでおいちゃんと社長との絡み合いも絶好調の面...
破茶滅茶ぶりは相変わらずでおいちゃんと社長との絡み合いも絶好調の面白さ。寅さんに絡まれて歌うサクラの歌声が美しくこちらの胸に響いてきた。さすが倍賞千恵子。
ネタ満載&炸裂
まだ8作目。皆若く、威勢良く、少し怖い程。
激しさに、息つく暇なく楽しんだ。ギャグも満載。
そんな荒くれの砂嵐の中、きらり光る家族愛。恋愛事情の行く末の人生への愛しさを謳った傑作中の傑作。
全14件を表示