「寅さん、見合いをする。堅気の仕事をする。フーテンで生きる」男はつらいよ フーテンの寅 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
寅さん、見合いをする。堅気の仕事をする。フーテンで生きる
シリーズ3作目。1970年正月公開。
男はつらいよシリーズは全作山田洋次が監督と思われがちだが、監督していないのが2作品ある。
本作(3作目)と次作(4作目)。
本作の監督は、森崎東。
一貫して庶民の喜怒哀楽を描き続けている日本を代表する喜劇作家。近年だと2013年『ペコロスの母に会いに行く』が素晴らしかった。
山田洋次との仕事も多く、山田洋次が産み出したこの名物キャラと世界観を違和感なく演出している。
寅さんに見合いの話が…!
まんざらでもなく、どんな相手がいいか望みを言ったりする。(しっかし、呆れるほど贅沢な望み…)
いざ見合い直前になると、柄にもなくド緊張。
で、現れた相手は…、
何と、寅さんと馴染みの女性。
話を聞くと、亭主に浮気され、やけになって別れ、見合いしてやろうとしたと言う。しかも現在、妊娠中。
自分の見合いの席だったのに、この女と元亭主の為に一肌脱ぎ、ヨリを戻させる。
それはいい。そこまでは良かった。が…
この二人の再出発を祝って、とらやでどんちゃん騒ぎ。
料理だ芸者だハイヤーだ…全てとらや持ち。
これにおいちゃんおばちゃん大激怒。
「俺が何か悪い事したってのか!?」…取っ組み合いの大喧嘩になるも、ひろしにねじ伏せられる。
自分の幸せより相手の幸せを祝ってやる寅さんの思いやりは決して悪い事ではないが、ちょっと度が過ぎたね。
寅さん、旅に出る。
一ヶ月後。
おいちゃんおばちゃんは温泉旅館に旅行へ。
そこで番頭として働いていたのは…、何と寅さん!
寅さんなりに反省して、使わせてしまったお金をここで働いて返そうとしているとの事。
この旅館は男手不足で、寅さんナシじゃ回らない。
…と、思ってるのは寅さんだけ。
実際は、ヘンな物を売り付けに来て、泊まったのはいいものの宿賃が無く、同情した女将さんの計らいで働かせて貰う事になり、以来居座っちゃってる。
おまけにいつもの病。女将さんに一目惚れ。
周りは皆知っている。知らぬは、寅さんだけ。
女将さんには大学に通っている弟がいる。
が、その弟は勝手に大学を辞め、旅館の女中と駆け落ちを考えている。
口では悪く言うものの、若者カップルの恋路を取り持つ寅さん。
それは上手くいくが、いつもながら自分の恋は…。
女将さんには結婚を考えいる相手がいる。立派な相手。
長らく保留にしていたが、結婚を決意。旅館も畳む。
従業員たちも快く承諾&祝福。
しかし、お邪魔なバカが。
恋惚けにうつつを抜かし、何も知らぬは寅さんただ一人…。
勿論最後は…。
さくらは序盤とラストにそれぞれワンシーンだけ。
御前様もラストにワンシーン。
冒頭、寅さんが宿泊する宿屋の女中に、若かりし頃の樹木希林!
見合いや堅気の仕事をするなど、珍しい寅さん。
張り切るタイプだから堅気になればいい仕事しそう。番頭なんて寅さんに合う。
でもやっぱり、フーテン。
寅さんらしいっちゃあ寅さんらしい。