「☆☆☆★★★ 「これだ!これだよ!このお茶漬けこそ夫婦の味なんだよ...」お茶漬の味 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆★★★ 「これだ!これだよ!このお茶漬けこそ夫婦の味なんだよ...
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「これだ!これだよ!このお茶漬けこそ夫婦の味なんだよ!」
延々と描かれる冷めきった中年夫婦の様子。
底意地の悪さを最大限に発揮する妻。
そんな様子を眺めていても、なかなか「面白い!」…等とは感じる訳も無く、ただただ時間だけが過ぎて行く。
ところが…。
夫婦2人でお茶漬けを食べるまでの場面が、懇切丁寧に描かれるに及び。これまでの此方の思いを180度ガラッと瞬間的に変えさせてしまう、この小津安二郎の恐ろしさたるや(-_-;)
それにしても、木暮実千代の冷たい目線と意地の悪さは凄い!
勿論それこそが。最後に2人でお茶漬けを食べさせる為の、長〜い長〜い前フリでは有るのだけれど…。
尤も、底意地の悪さだったら小津の独壇場なのかもしれない。
小津の助監督を勤めていた今村昌平には、悪気は無かったのかも知れないとは言え。「君は何でウジ虫ばかり好んで描くんだ。もっとまともな人間を描きなさい!」…と言ったらしいし。笠智衆に対して、「あなたの演技よりも、茶碗の位置の方が大事なんです!」と言い放った…等。
そんな事を考えながら観ていると、如何にも小津らしいなあ〜と言える作品ですね〜(´-`)
…と、此処でハッと思い付いた事が。
夫婦2人での卓袱台を囲んだ食事シーンとして、真っ先に思い出すのは、何と言っても成瀬巳喜男の『めし』。
年間ベスト1を獲得する等。夫婦の冷え始めた関係を、食卓を使い表現し名作としての評価は高い。(外国映画だと、『市民ケーン』の食卓シーン等が有名)
その成瀬巳喜男の『めし』は1951年ならば、本作品の『お茶漬けの味』は翌年の1952年に撮られているのが…。
これをどう見たら良いのだろう(¬_¬)
ひょっとして、今村昌平に言った様に(今村は言ってみたら弟子にあたる間柄でも有るので、ついつい本音で言ってしまった感も在るけれど…)
まさか「成瀬くん、こんなのはどうだい?」…とでも?(-_-;)
初見 並木座
2019年4月25日 シネマブルースタジオ