「亡き後も続く故人の物語」お葬式 shinさんの映画レビュー(感想・評価)
亡き後も続く故人の物語
お亡くなりになった千鶴子のお父さん、真吉の出番は、冒頭の数分だった。それでもお葬式を通して彼の人柄が語られることによって、故人の人となりを知ることができる。それがお葬式なんだ、と映画を通して教えてくれた。
エンタメ要素は含まれているが、基本的にお葬式の段取りを淡々と伝えている。誰もが一度や二度は経験するお葬式。慌てふためき、焦燥して、途方に暮れながらも取り仕切らなければならない一連のセレモニーがユーモアを含めながら描かれている。
大滝秀治や菅井きんの挨拶は決して面白いものではないが、訥々と語る姿になぜか惹きつけられる。何も変わったことなど言っていないし、感動的なセリフでもない。でも何故か涙が出そうになった。
誰も笑わそうとはしていないのに、何故かクスリとしてしまう数々のシーン。ああこんな人いるよね、ああこんな光景あるよね、と思わず頬が動く。
「人間は二度死ぬ。 一度目は肉体が滅んだ時。二度目は人々の記憶から消え去った時」という言葉があるが、雨宮真吉は、この葬儀の後もずっと語られていくのだろう。死後も故人の物語りは続いていく。
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