劇場公開日 1984年11月17日

「「葬式」という非日常のハレの場を極上のエンターテイメントに昇華させていますね。」お葬式 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「葬式」という非日常のハレの場を極上のエンターテイメントに昇華させていますね。

2023年5月21日
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鑑賞方法:映画館

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「日本映画専門チャンネルpresents 伊丹十三4K映画祭」が25年2月21日(金)から開催。5月1日までTOHOシネマズ日比谷さん、梅田さんにて監督作を週替わりで10本、4Kデジタルリマスター版で上映。本日は監督デビュー作『お葬式』(1984)を鑑賞。

『お葬式』(1984年/124分)
伊丹十三監督デビュー作。
公開当時は小学校低学年、それから40年。
いろいろな冠婚葬祭を経た上で鑑賞すると、さらに面白さが増します。

タイトルも初期の『侘助たちの秋』を断念して思い切って『お葬式』。
公開当初もインパクト十分、子供心にもそのような題材を扱っていいのか、おっかなびっくりTV放映を観た記憶がありますね。

「お葬式」「ラーメン」「マルサ」…当時の映画業界にはない伊丹監督のテーマ選び、発想力、創作力には改めて脱帽です。
俳優業の傍らエッセイなど文筆業でも活躍されていたのでとにかく脚本が素晴らしく、本作『お葬式』でも、急な葬式の準備に狼狽える家族、結婚式以来久々に会って気まずい親戚関係、従兄弟たち会えて走り回る子供たちと誰でも共感する「葬式あるある」を時にはコミカルに、そして時にはシニカルに、「葬式」という非日常のハレの場を極上のエンターテイメントに昇華させています。

そしてキャスティング。
監督の信条「キャスティングは演出の仕事の半分」を具現化したように、山崎努氏、宮本信子氏、菅井きん氏、大滝秀治氏、財津一郎氏、江戸家猫八氏、笠智衆氏、津村隆氏、尾藤イサオ氏、岸部一徳氏、小林薫氏と豪華な俳優陣で、どれも適役。
特に死体役に徹した奥村公延氏は黙して語らずですが存在感がありましたね。

監督がまだご存命だったら、どんな題材で映画を発表しつづけたのか、そんなことを空想しながら、全10作品完走したいですね。

矢萩久登
talismanさんのコメント
2025年2月24日

10作を一気に見ることができるのしあわせです!

talisman