劇場公開日 1984年11月17日

「【停滞していた近代邦画に、ニコラス・レイ監督作品に出演し、エッセイスト、デザイナーとしても超一流のマルチな才能を発揮していた、天才伊丹十三監督が新風を吹き込んだ傑作。】」お葬式 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0【停滞していた近代邦画に、ニコラス・レイ監督作品に出演し、エッセイスト、デザイナーとしても超一流のマルチな才能を発揮していた、天才伊丹十三監督が新風を吹き込んだ傑作。】

2021年1月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館、TV地上波

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ー 中学生時代から、伊丹十三氏のエッセイを愛読していた。
 特に「ヨーロッパ退屈日記」「女たちよ!」「再び女たちよ!」の三冊は、今でも時折目を通す。大袈裟ではなく、百回以上は読んでいる。即ち、再読に耐えうる程、面白いのである。
 その伊丹十三氏が映画を製作したと聞いた私の両親は、”その内容を深く知る事もなく”中学生の私と共に、映画館に足を運んだ・・。ー

■今作の魅力(語り始めると、1万字でも書けるので、ほんの少しだけ・・。)

 ◆誰もが経験するであろう”お葬式”をテーマとして映画化した、伊丹夫妻(伊丹氏と、夫人の宮本信子氏)の勇気と自信と恐れ。
ー 後年の宮本氏のTVインタビューを見ると、映画会社からは
 ”タイトルが映画向きではない(それはそうだろう・・)”
 と難色を示されたが、夫、伊丹十三氏の才能を信じ、多額の借金をし、映画製作に取り組んだ事。
 そして、映画公開初日に恐る恐る映画館に夫婦で足を運んだら、長蛇の列が出来ていて、”なんだろうねぇ”と言いながら観たら、「お葬式」を見る人々の列だった事。
  そして、それだけの集客力があったこの映画の面白さ。ー

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 ・突然、女優の妻、千鶴子(宮本信子)の父が亡くなり、おろおろする喪主侘助(伊丹十三)。彼らのマネージャー里見(財津一郎)も、イロイロと奔走するが・・。
 ー 喪主の挨拶について、解説するビデオを二人がのぞき込んで見ながら、口上を真似る場面の面白さ。
 そうだよねえ、40歳になっても、冠婚葬祭の”葬”については、知らない事ばかりだものなあ・・。ー

 ・取り敢えず、通夜は自分たちの家ですることにするが・・。
 急な木造階段を雨の中お棺を皆で担ぎ上げるシーンのハラハラする面白さ。
 ー ロケ費節約のため、今作で登場する家は、実際に伊丹夫妻が住んでいた湯河原にあるログハウス風の家である。ー

 ・更に、翌日侘助の愛人(高瀬春奈)が訪れ、ナント喪中にも関わらず、アオカンをするシーン。
 ー まだ鮮明に覚えているが、喪服姿の高瀬さんが色っぽくて、物凄くコーフンした・・。両親は戸惑っていたであろう・・。
 そんなことを察しているように、千鶴子は”夫が縦に激しく腰を振る中”、空虚な表情で木製の振り子ブランコを”横に揺らしながら”、乗っているシーンが映し出される・・。シュールだなあ・・。ー

 ・風が強い中、受付の箱に置いてあったお悔やみのお札が風に舞うシーン。オロオロしながらかき集める人々の姿。

 ・そして、焼き場のシーン。
 煙突から僅かに上がる煙を見上げながら交わす侘助と千鶴子の何気ない会話。

<誰でもが、いつかは経験するであろう”お葬式”をテーマに、見事に人生の悲喜劇に仕立て上げた伊丹十三監督の初監督とは思えない手腕と、宮本信子夫人が日本を代表する女優として名を挙げた、記念碑的作品。
 伊丹監督の、若き妻、宮本信子さんに対する愛が溢れた作品でもある。>

NOBU
talismanさんのコメント
2021年1月25日

伊丹十三さんのエッセイから学んだ一つは、ランジェリーです。これは大きな勉強となりました。

talisman
talismanさんのコメント
2021年1月25日

園子温、伊丹十三、黒澤(天国と地獄、悪い奴ほどよく眠る、椿なんとか)。女優生かしてる横溝とか?でも正確にわかってません。私は山田五十鈴が最高に好きです。

talisman
talismanさんのコメント
2021年1月25日

NOBUさん、こんばんは。コメントありがとうございます。邦画の監督も何もよく知りません。でも、好きなのは以下かな?

talisman
talismanさんのコメント
2021年1月25日

NOBUさん、こんばんは。コメントありがとうございます。邦画、監督、いずれも詳しくありません。何となく挙げます、好きな人と映画。

talisman