劇場公開日 1963年10月5日

越前竹人形のレビュー・感想・評価

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3.0若尾文子の演技と宮川一夫の撮影

2020年4月18日
PCから投稿

原作の縛りがあるから仕方ないが、脚本が感心しない。女性主人公の苦しみが強調されて、軽率な男の立場がそのままでおわる。地方風俗の時代色をモノクロ映像に映し出す宮川一夫の撮影と女優若尾文子の魅力だけの映画におわる。「夜の河」の吉村公三郎ならもっといい映画に出来たのではと思いたい。

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Gustav

1.5福井愛

2015年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

題名の通り、福井県の民芸品である竹人形を作る職人とその妻になる女の短い結婚生活を描く。 妻となる若尾文子は京・島原の芸者をしていたので京言葉を話すが、主人公ら福井の人間がみな福井の言葉を話す。ときにはイントネーションが不自然なところは否めない。だが、ともすればどこのものかよく分からない田舎臭い言葉を使用することでごまかしがちな部分を、ある程度の方言考証に基づいて俳優に喋らせるところに製作者の良心を感じた。 また、「・・・日野川の支流を遡って・・・」という冒頭のナレーションなど、福井県民でなければまったく地理感の湧かない説明なのに、じっくりと観客に聞かせるほどに長いことも県民にとってはサービス。 そして、主人公が芦原温泉へ行くときに映る京福電車の駅。田んぼの真ん中にぽつりと一両編成の電車が止まる小さな駅。そこには「あわら 番田 水居」とある。芦原湯町という駅名が付くのはまだ先のことなのだ。 福井の人間にとってはうれしい、福井愛に満ちた作品である。 脇を固める俳優の存在感も良い。 夫の留守中の過ちで若尾を妊娠させる西村晃。若尾が吐き捨てるように言った「人間の皮を被ったケダモノ!」ぶりが徹底している。後年の黄門様の好々爺も、若い頃はなかなかのワルを演じていた。 そして、船頭の中村雁治郎の朴訥とした善人が素晴らしい。若尾が絶体絶命のときに、この人が他の作品では見せたことのないような絶対善とでも呼びたくなるような、宗教的ですらある姿を見せる。 なかなか難しい題材(水上勉の原作)を選んでしまったという感じがするが、魅力的な俳優たちと、今でも使える池野成のモダンな音楽に魅せらているうちに終わりがやってくる。

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佐分 利信