「清水美砂との濡れ場は夢だった(田口トモロヲ口調で)」うなぎ 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
清水美砂との濡れ場は夢だった(田口トモロヲ口調で)
監督と脚本は『楢山節考』『女衒』『黒い雨』『カンゾー先生』『赤い橋の下のぬるい水』の今村昌平
脚本は他に『赤い橋の下のぬるい水』『福耳』『出口のない海』の冨川元文と『カンゾー先生』『赤い橋の下のぬるい水』『テンデラ』の天願大介
1997年公開作品
第50回カンヌ国際映画祭パルムドール
20代の時以来2度目の鑑賞
動画配信はされていない作品なので地元のTSUTAYAでレンタル
粗筋
妻の浮気を目撃した会社員山下拓郎は出刃包丁で全裸の妻を滅多刺しにして殺害した
すぐさま自首した山下は8年服役し出所した
保護司の中島次郎の世話になり理髪店を開き理容師として働き始めた山下
山下は刑務所時代に飼い始めたうなぎにしか心を開かなかった
そんな矢先に山下は道端で服毒自殺を謀った女を発見しなんやかんやで警察に届けた
恩人の山下に服部桂子はすっかり惚れ込み押しかけ女房の如く山下の理髪店で働くようになる
舞台は千葉県佐原
佐原は佐原砂漠で何もないと自嘲する近所の船大工役の佐藤允
『台風クラブ』にも登場したが顔力がハンパない
まんが日本昔ばなしの常田市原コンビが共演
一緒のシーンがないのが惜しい
市原演じる桂子の母は秋田から娘の元にやってきた
つまり清水美砂演じる桂子は秋田出身
主人公山下の嫁の役だと記憶違いしていたのだがころされた恵美子役を演じたのは寺田千穂
寺田千穂?誰?
最近は芸能活動してないようだが結婚し子育に専念し俳優業は休業状態
ブログは時々更新しているようで息子は中学生になったという
様々な名脇役がチョイ役で登場する
UFOを待つ青年という設定は必要なかったと感じる
女性俳優2人には悪いが清水美砂や寺田千穂の濡れ場より堂島一味が山下理容店に乗り込み乱闘騒ぎになるクライマックスシーンがこの映画の1番の見せ場
他人事なら乱闘は面白い
自分は清原和博のような漢じゃないけど
妻が浮気したくらいで殺すことはないだろうと感じた
それが愛情の深さの裏返しなのか
飼っていたウナギは川に流しケジメをつけた
桂子は孕ったがおそらく堂島の子供だろう
しかし桂子はそれを認めず2人は山下の子供として育てるつもりのようだ
堂島とのトラブルで仮出所は取り消し再び刑務所に戻る山下
おそらく山下は残り2年の刑期を終えたあと理容店に戻り桂子と再婚するだろう
うなぎとはなんだったのか
恵美子の代役か
カンヌのパルムドールだからというわけではないが少なくとも星4つの評価の価値はある
20代のときに比べるとこの年になった今の方がこの作品を楽しめた
なぜなのかそれはわからない
泥臭い生と性を少しのユーモアを交えて描く今村世界の傑作の一つ
配役
仮出所後理髪店を始めた山下拓郎に役所広司
睡眠薬を飲んで自殺未遂したものの一命をとりとめ山下の元で働き始める服部桂子に清水美砂
隣家の船大工の高田重吉に佐藤允
刑務所仲間で仮出所の身で清掃会社に就職したがすぐに辞め山下にちょくちょく絡んでくる無職の高崎保に柄本明
スポーツカーを運転する山下理容店の馴染客の野沢祐司に哀川翔
UFO青年の斎藤昌樹に小林健
山下の妻の山下恵美子に寺田千穂
刑務官に平泉成
山下の妻の不倫相手に中丸新将
刑事に上田耕一
刑事に光石研
駐在所勤務の警察官の郷誠太郎に河原さぶ
医師に深水三章
監察官に小西博之
医師に小沢昭一
拓郎の保護司を請け負う住職の中島次郎に常田富士男
住職の妻の中島美佐子に倍賞美津子
桂子の愛人で金融会社社長の堂島英次に田口トモロヲ
堂島の部下に森羅万象
桂子の母の服部フミエに市原悦子