「ラストに、えっ?」異人たちとの夏 ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストに、えっ?
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時空を超えた作りや亡くなった人間が幽霊として出てくるので、大林作品の王道と言えるものでした。
父親役の鶴ちゃんと母親役の秋吉久美子が、昭和30年代のおおらかな日本社会を象徴しています。いつからこんなにギスギスした日本になってしまったんでしょうか。いくら戻りたくても戻ることができない良き時代。
特にその時代を知る方が鑑賞すると、熱いものが込み上げてくるかもしれません。それは主人公がその世代の日本人のメンタリティーのメタファーとして描かれているから。作品が上映された時代は、家族という概念が変わり始めた頃でした。時代が急激に変わり過ぎたんですね。
そして、主人公が経験する中年という壁。現在の自己を否定し、生まれ変わることを求める年齢にフォーカスしています。
「さびしんぼう」でも描かれた同世代として対面する母親との微妙な関係性も通過儀礼のひとつ。男性(大林監督)の初恋はきっと母親なのでしょう。淀川先生も、そんなこと言ってたなあ。
両親という死者との再会によって生きる喜びを取り戻す主人公。逆に死者である「ケイ」という恋人によって、あの世へ連れて行かれそうにもなる。どちらにしても、生きる目的を無くした主人公が、生を意識した瞬間です。とにかく、「生きるのだ」。とにかく、「生まれ変わるのだ」。
賛否両論あるラストですが、もう少しなんとかなったら日本映画史に残る名作になったのではないでしょうか。でも、大林監督らしいと言えばらしいので、これで良かったかな?
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