劇場公開日 1957年5月22日

「成瀬アンド高峰秀子の黄金コンビ作でダメ男ゴロゴロ映画でもある」あらくれ(1957) ミラーズさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0成瀬アンド高峰秀子の黄金コンビ作でダメ男ゴロゴロ映画でもある

2022年10月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

高峰秀子が最初やけに丸い顔をしているので、誰?と思ったが、劇中で年齢を重ねるといつものデコちゃんになる。メイク?

高峰秀子は扮するお島さんは、働き者で義理堅い人情味もある良い性格だか時折、男達の裏切りによって、気性荒いところが発動。
彼女が激怒して暴れる場面は、近年の時節がら問題があるかも知れないが、とても胸のすくところでもある。

最初の少女時代に結婚する相手の上原謙は2枚目だか、嫌味でDVもする缶詰屋の旦那。
上原謙が出演する成瀬作品の「山の音」で演じたゲス野郎に近い。

二番目の結婚相手は、森雅之は田舎旅館の旦那。悪い人ではないが没落優柔不断のダメ男系。成瀬作品の「浮雲」の役に近い。

三番目の結婚相手は、加東大介は、裁縫師で、感じの良い男に見えるが、怠け癖のある浮気性のダメ男。稼いだ金を使い込んだり、浮気して、激怒したお島さんから殴る蹴るの暴行をうける。加東大介は成瀬作品の「女が階段を上る時」の自分を社長だと偽る虚言癖男や「秋立ちぬ」情薄な浮気相手などひどい役ばかり。
もっとも、他の映画でもコメディリリーフや昆虫並みの馬鹿などばかり演ていて「七人の侍」のでの勘兵衛の家臣の凛々しくて頼りになる役の方が正直珍しい。

本作の脚本を担当した水木洋子の評伝によると、加藤大介は水木宛に自分を売り込む感じの手紙を送っているらしい。
その一文に「丈夫で、安くて、使いやすい、貴女の加藤大介」なのも可笑しい(加藤馨「脚本家 水木洋子 大いなる映画遺産とその生涯」より)

お島さんの兄貴の宮口精二も結構なダメ男。

ダメ男ゴロゴロ映画に偽りなし。

ミラーズ
マキさんのコメント
2022年11月10日

ミラーズさん、「すずめの戸締り」へのコメントありがとうございました😊✨
私はもう一度見たいほど、気に入りました😉

マキ