劇場公開日 1950年10月3日

「 警視庁が全面的にロケに協力しているおかげでかなりリアルな面も見せ...」暁の追跡 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 警視庁が全面的にロケに協力しているおかげでかなりリアルな面も見せ...

2018年10月21日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 警視庁が全面的にロケに協力しているおかげでかなりリアルな面も見せてくれる。

 列車に撥ねられ死亡した舟津容疑者を目の当たりにした新橋派出所の石川巡査は悲惨な状況に悩まされ、ストライキを鎮圧する職務に対して疑問を持っていた。そんな折、同僚の檜巡査(伊藤)が拳銃を暴発させて新米巡査に軽傷を負わせたことで免職となってしまう。普通の職業とは違う、警官って何だ?公僕って何だ?と悩み、警官を辞めたくなった石川。戦後混乱期で、軍隊と似たような性格を持つ警察。悩みはむしろ内部的なことだったが、躊躇しているときに、舟津の妹が何者かに殺された。それを契機に犯人を挙げることに必死になる石川であった。

 終盤の大捕り物。密輸団を摘発するために機動隊(?)を投入する明け方のシークエンス。現代的な描写じゃなく、ここだけはドキュメンタリータッチで淡々と、しかも残酷に描かれていた。警官も犯人側も何人死んだのかわからないほど。

 警官隊が現場に向かうとき、トラックの荷台に30人くらい詰め込んでるシーンが印象的。また、『銀座カンカン娘』のメロディが聞こえてくるのも楽しい。伊藤雄之助が警察を辞めてからキャバレーのバンドマンとして楽しそうにやってるのもいい。一人の新人警官が成長する物語と言ってしまえば簡単だが、戦争の色がまだ残る日本において、貧困層の問題や民主的な警察への模索なんてのもテーマなのだろう。

kossy