赤い天使のレビュー・感想・評価
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結局のところ、いわゆるメロドラマ…
宣伝用スチール写真に騙された。
あの若尾文子が、まるで『ワイルド・バンチ』の如く玉砕覚悟でガンガン(別にダジャレじゃないよ)撃ちまくるのかと思ってた。
実際、銃なんか全然ブッ放さないし…
それにしたって、ラストは、もっと強烈に叩きつけるような展開になるのかと思っていたが…
結局のところ、いわゆるメロドラマ…
ラヴシーンで流れるフォーレもどきの旋律も、すっかりシラけてまう。
ほんとセンスねえなあ…
あまりに凡庸で…
集中して観てたのに、ホントああいうのイヤになるよ。二人とも芝居は良かったのに。
冒頭の方から、凄惨な野戦病院の手術の現場とか、意外にストレートなレイプシーンなどなど、割とヘヴィに攻めてはいたが、もっと抉るようなリアリズムで徹底して欲しかった。
若尾文子のヌードシーンなんか、殆どたぶん、いや、明らかに替え玉…
こういうリアルに攻めていく映画は、ちゃんとセックスもフィジカルとメンタルの両面リアルに描いてくれないとホント萎えちゃうよ。
う〜ん、いろいろと残念!
しかし、なんだかんだで若尾文子は、やっぱりいい。
今回はナレーションもしていて、あの淑やな中にも芯の通った語り口…
あんな声で「おやすみなさい…」なんて…
ホントもう、たまらんよ。
切断、切断、また切断。ベテラン軍医は負傷兵を診て即判断しなければ...
切断、切断、また切断。ベテラン軍医は負傷兵を診て即判断しなければ間に合わない。「だめ」と「切断」だ。
バケツの中には切り取った足や手が無造作に入れられ、戦争の悲惨さを物語る。視点はあくまでも医療従事者側からのもの。戦争の大儀などとは無縁で、生かすべきか殺すべきかを考えさせられる。また、敵地での兵士は女に餓えるなど、戦争時の人間のセックスについての描写が多かった。
印象に残るのは両腕を失った折原一等兵(川津祐介)。腕がない映像をCGもない頃にここまでリアルに描けるのは凄い!妻を残して重傷を負い、内地へ送還させられても隔離され、戦争の悲惨さを国民の目から避けるようにされるといって痛烈な批判もあった。男の機能は爆発寸前なのを西さくらも承知して、彼を慰めることとなるが、満足した折原は翌日自殺。後半、軍医との恋愛が中心になるが、モルヒネ中毒によってインポとなった彼はさくらを抱けない。二人とも前線に赴くがコレラが発生し今にも中国軍が攻めてくるのであった。
反戦映画とは言えないのかもしれないが、戦争の悲惨さおろかさが十分に伝わる、ちょっと変わった映画。『ジョニーは戦場へ行った』にも似ているような気がする。
もう少しで傑作なった映画
戦争と人間の性
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