劇場公開日 1966年10月1日

「 切断、切断、また切断。ベテラン軍医は負傷兵を診て即判断しなければ...」赤い天使 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 切断、切断、また切断。ベテラン軍医は負傷兵を診て即判断しなければ...

2018年10月20日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

難しい

 切断、切断、また切断。ベテラン軍医は負傷兵を診て即判断しなければ間に合わない。「だめ」と「切断」だ。

 バケツの中には切り取った足や手が無造作に入れられ、戦争の悲惨さを物語る。視点はあくまでも医療従事者側からのもの。戦争の大儀などとは無縁で、生かすべきか殺すべきかを考えさせられる。また、敵地での兵士は女に餓えるなど、戦争時の人間のセックスについての描写が多かった。

 印象に残るのは両腕を失った折原一等兵(川津祐介)。腕がない映像をCGもない頃にここまでリアルに描けるのは凄い!妻を残して重傷を負い、内地へ送還させられても隔離され、戦争の悲惨さを国民の目から避けるようにされるといって痛烈な批判もあった。男の機能は爆発寸前なのを西さくらも承知して、彼を慰めることとなるが、満足した折原は翌日自殺。後半、軍医との恋愛が中心になるが、モルヒネ中毒によってインポとなった彼はさくらを抱けない。二人とも前線に赴くがコレラが発生し今にも中国軍が攻めてくるのであった。

 反戦映画とは言えないのかもしれないが、戦争の悲惨さおろかさが十分に伝わる、ちょっと変わった映画。『ジョニーは戦場へ行った』にも似ているような気がする。

kossy