劇場公開日 1991年8月10日

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3.5経済大国の無気力な若者達

2017年6月5日
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鑑賞方法:映画館

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世の中をリセットしてくれる洪水を待ちわびるいじめられっ子、岡本健一演じる東光、刺激をいじめに求め、やがて海外部隊にまで思いを向け始める浅野忠信演じる不良のいじめっ子、岩田貞人、いつか誰かがこの退屈な日常から自分を連れ出してくれないかと、無為に過ごすフリーター?の少女、石田ひかり演じる小野雪。この三人を軸に話が進むわけだけど、この三人の演技というか言動が突飛でちょっと痛々しい。当時、新人類といわれた若者達は大人からはこう見えていたということか? だとしてもいろいろと違和感があって、主人公の光は一般にイメージされるいじめられっ子ではなくて、むしろ不良グループに目を付けられてる一匹狼。不良グループのリーダーの貞人を返り討ちにしたりしてるから根性ある。部屋に引き篭もって洪水の妄想をしているような内向的な少年かと思えば、不良に一人で立ち向かったり、女の子にも臆せずに話しかけたりと、よく分からない設定。不良の貞人もやさぐれてるのかと思えば、好青年のように振舞ったりするしwまあ、実は光のことを気に入ってるんだなという事は解ったが。小野雪は就職しているようなので、他の二人よりお姉さんかな?でも年上ぶったり年上のように扱われている素振りもない。急に歌いだしたり、とにかくとらえどころが無い。
学生運動したり、モーレツ社員として高度経済成長を支えてきた大人達から見た、とらえどころの無いフワフワした若者達をデフォルメした姿を描いているのかな?と思いながら観ていた。光に超能力を持たせたのも、超人的な力を得て、非日常的な人生を手に入れたいという、マンガ世代の若者の象徴なのだと思う。
世界一の経済大国になり、親の世代のように必死に働かなくても何とか食えていける世代、学歴社会になり、頑張っても先が見えてしまう世代、普通に就職して先の見えている人生に絶望している世代、それを打破したくても何をすればいいのか分からない世代、打破するために夢のような非現実的な事を夢想している世代、当時の大人から見た若者達の姿、当たらずも遠からずといったところか?当時の世相を知るにいい映画だと思う。

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月野沙漠