劇場公開日 2007年11月17日

「この手の毒を受け入れるのは覚悟が必要」ソウ4 あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0この手の毒を受け入れるのは覚悟が必要

2009年11月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

2007年アメリカ映画。93分。人気シリーズ第四弾の「ソリッド・シチュエーション・ホラー」作品でございます。冒頭からして絶句するような描写。はっきりいって開き直ってます。

本作は見せ物根性を超えて、監督の自己陶酔度が極みにに達している作品ではないでしょうか。四作もつくられたことからの自信と表裏一体の危険なナルシズムを感じました。アンチ・ヒーローの殺人鬼・ジグゾーはさしずめ、そんな監督の化身のようなものか。

本作では、ジグゾーの過去がさらに描かれていきます。悲しい出来事を羅列することで彼の人間性のようなものがじわじわと浮き上がってきます。そして、それはまさしく知的スノッブと呼べる「まがいものさ」があります。

ここで視点を変えると、本作はある種この「まがいものさ」の魂に迫った作品なのかもしれません。すべての犯行をゲーム感覚でしかけていき、世の中を震撼させる彼を観ることで、たしかに観る人の世の中を見るフィルターが、「まがいものさ」に対して敏感にはなっていきます。

この手のテーマを描いた作品では、やっぱり「ダークナイト」が比較対象になります。そして浮き彫りになる本作の問題は、その「まがいものさ」だけで自己完結していて、それ以上のものがないということ。

ほんと、なんなんでしょうね、この作品は。

あんゆ~る