「【”僕がオリヲン座と、君を守る。”京都・西陣の小さな映画館を舞台にした、映画を愛する心優しき男女の姿を描いた作品。レトロスペクティブな雰囲気と、情感溢れる佳き作品である。】」オリヲン座からの招待状 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”僕がオリヲン座と、君を守る。”京都・西陣の小さな映画館を舞台にした、映画を愛する心優しき男女の姿を描いた作品。レトロスペクティブな雰囲気と、情感溢れる佳き作品である。】
■昭和25年の開館以来、映画館「オリヲン座」の館主を務めてきた松蔵(宇崎竜童)が病に倒れる。弟子入りを赦された留吉(加瀬亮)が志を継ぎ、先代の妻・トヨ(宮沢りえ)と立った二人で、オリヲン座を守ることになる。
だが、TVの普及により映画産業が斜陽になり、周囲の人間に留吉は”館主になって、良かったな!”と陰口を叩かれながらも2人は映画を愛し、互いを思いやり続ける。
そして、二人は年老い、「オリヲン座」を閉館する事を決め、馴染みの客に招待状を送る。
その中には、小さい頃から二人に子供の様に可愛がって貰った、ゆう(田口トモロヲ)と、よしえ(樋口加南子)の姿もあった・・。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・留吉を演じた加瀬亮が宮沢りえ演じるトヨを気遣う姿が、気高く、品性高く感じる。男とは、女性に対しては、かくありたいものだと思う。
・TVの普及により、客が一人もいない映画館の寂しき姿。そして、誹謗中傷を受け、更に客足が落ちたことを自分のせいだと責める留吉が、陰口を叩く愚かしき男に”止めて下さい!”と、何度も頼む姿。
■足を怪我したトヨを気遣い、蚊帳の中に、捕まえて来た蛍を、留吉が放つシーンは素晴らしい。
初めて、二人が手を重ねたシーンでもある。
・貧しい中で、トヨはゆうと、よしえに飴を与え、留吉は映写室から二人に映画を見せる。
ー キラキラした目で、夢中で映画を観る二人。少しだけ「ニュー・シネマ・パラダイス」を思い出す。-
・閉館の言葉を述べる老いた留吉(故、原田芳雄)の姿は、沁みたなあ・・。
<映画は娯楽であるが、文化でもあり、良き作品は終生心に残る、と私は思う。
今作は、そんな映画を愛した小さな映画館を長年守って来た二人の美しい恋の物語である。
レトロスペクティブな風合もとても良い作品でもある。>
■コロナ禍以降、映画館は大変な状況に陥ったが、昨年あたりから客足が戻って来た気がする。良い作品が多く公開されているのも、その理由だろうが、10代から20代の若者が多くなった気がする。TV離れの影響かも知れないが、嬉しい事であると私は思います。