「白い鳩といえば」恋空 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
白い鳩といえば
どうせ女子高生が作った話なんだろうとバカにしてました・・・すみません。もちろん原作なんて読んではいないのですが、原作となるケータイ小説よりも、むしろ脚本がダメなんだと思いました。
高校1年の美嘉は携帯をきっかけに、一見して恐そうな金髪のヒロと付き合うことになった。最初はレディコミのようなエロ青春映画かと思ってしまいましたが、残酷な経験を経て悲劇をも乗り越え、そして辛い別れも経験していくのです。
物語は切ないを通り越して、痛々しいほどのプロットであるのに、細かな部分のやりとりのぞんざいさが気になってしまう。登場人物は皆察しがいいというか、飲み込みが早いというか、暴行された雰囲気もないのに、「絶対に許せない!」と反撃に出るヒロ。気分が悪くなっただけなのに、妊娠したのだと思い病院に連れて行く母と父。全てこの調子で、心理描写を端折っているところが気になってしまいます。もっと削れる部分はあるはずなのに・・・
許せないような場面も多く・・・特に学校中の黒板に「淫乱女」と書かれるという事件の直後に図書室でやっちゃうとか・・・今どきの女子高生の頭の中はそんなものなのかと嘆きたくもなるかもしれません。
中盤まではどうでもいいような話だったし、新垣結衣の可愛らしさと三浦春馬の好演だけの映画かと思ってました。ところが、ヒロの真意が読めてきて、『象の背中』を思い出さずにいられなくなったのです。なんと、ヒロは役所広司の演じた藤山と正反対の性格だったため、共感しまくりでした。男はこうあるべき!と、『象の背中』でむしゃくしゃした気持ちをスッキリさせてくれたのです。
また、小出恵介の引き際の良さも共感できる。落とした指輪を「拾うな!」と言った気持ち。いつかは力ずくでも愛を取り戻せるのかもしれないけど、ヒロとの最後の日々を過ごした後に確実に引きずってしまうであろうことや、自分もそのことを忘れることができるかどうかを考えた結果だったのでしょう。ここまで男の気持ちを配慮できるって・・・もしや原作者や脚本家は本当は男じゃないのか?とまで想像してしまう。