アフター・ウェディングのレビュー・感想・評価
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演出力と演技力で魅せる作品
デンマーク発の難病物。
始めは貧困を訴える内容かと思っていたら全く違う内容なので少々面食らった。
主人公と思わしきボランティアを訴える男と、起業家らしき男の妻、2人の視線が交じり合い、それを見つめる夫、最高にサスペンスが盛り上がる仕掛けになっている。
一瞬、フランソラ・トリュフォーの秀作『隣の女』を思わせるが、ここから映画は意外な方向へと転がって行く。
監督の演出力と役者達の確かな演技力で見せる作品で、特に夫役の俳優の演技力には目を見張った。正直を言うと中盤辺りで何度となく罵り合いになるところが、ちょっと観ていて辛いのですが、終盤になって真実が解って来ると「嗚呼、そうだったのか!」と感じて来ます。
その真実が唐突な感じなのと、貧困に関する面が内容とマッチしていないのが気になるところですが…。
(2007年11月3日シネカノン有楽町二丁目/スクリーン2)
登場人物たちの立場や想いをじわじわと浮き彫りにする
総合:70点
ストーリー: 65
キャスト: 70
演出: 75
ビジュアル: 75
音楽: 70
偶然を装っていたけれど実は偶然ではなく、仕組んだなと問い詰められてもまだ偶然を装う。せっかく撮影してきたインドの慈善事業のビデオもろくに見ようともしないのは、既に下調べが済んで結論が出ていたということなのだろう。金の力で相手を言いなりにさせるのは傲慢ではあるが、それでもヨルゲンにとっては残される家族の幸せが何よりも大切。そのためには手段を選ばず、その決意のほどが伝わってくる。
派手さはないが、全体的にや暗さのある落ち着いた雰囲気の中で人が語りかけ想いを告白する。それぞれの心理が交錯していく様を描く演出で、やや平凡な物語は登場人物の関係が浮き彫りにされることによってじわじわと盛り上がりを見せる。
最後はどうなのだろう。愛情のある育ての親よりも慣れ親しんだ環境を選択することによって、主人公の罪悪感が減る効果を狙ったのだろうか。とにかくこれでインドの施設も安泰だし心残りなくデンマークに戻れることになる。
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