「broken promises」イースタン・プロミス everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
broken promises
ロシア系移民の父を持つイギリス人女性Anna。助産師として働く彼女が、女児を出産後死亡した少女の身元を探る過程で、ロシアンマフィアと接触することになります。
"Eastern"とはイギリスから見た東欧、主にロシアを意味しています(監督談)。登場する"vory v zakone" (thieves-in-law) は実在する組織とのこと。ロシア人だけでなく、チェチェン人にトルコ人と、Londonの闇に根を張る東欧諸国の犯罪組織が描かれています。
"Eastern Promises"を=人身売買と訳しているのは日本語だけのようです。恐らく直接そういった意味はないと思います。"Fry's Turkish Delight"というお菓子の、60's以降の英国版CMは、"Full of eastern promise"という言葉と共に、ちょっと「オトナの」お菓子というイメージで作られています。"Eastern"という言葉に、エキゾチックでミステリアス、危険な甘い香り的な意味合いを込めていたのだと思います。
イギリスに拠点を置くマフィアにとって、東欧の少女達は魅力的な資源。寒々しい東欧の母国で少女達が夢見た、果たされない約束。
主人公Nikolaiの本心はどこにあるのか。どうやって良心を保っているのか。彼の辿った人生は全て身体に彫られたタトゥーにより一目で分かるのに、中身は誰にも分からない。大変魅力的に演じられていました。
最初から最後まで釘付けの作品でした。
追記
本作を生涯ベストとする中東欧系アメリカ人(文学/言語学者の卵)も、タイトルを人身売買という意味では捉えていませんでした。
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