「ジョディの『狼よさらば』」ブレイブ ワン The Dudeさんの映画レビュー(感想・評価)
ジョディの『狼よさらば』
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ストーリーがチャーリー・ブロンソンの『狼よさらば』に似ている。「街の理不尽な暴力に愛する人を奪われる」→「街を彷徨う」→「街のクズを裁く」→「悪の一掃が快楽に」→「理解ある刑事に出会う」……ここまでは同じだが、街の人混みの中で標的を見いだせぬブロンソンと違い、ジョディは本懐を果たす。ジョエル・シルヴァーが製作だから?ジョディの暴力への怒りが許さなかった?何れにせよ、少々のカタルシスを代償に、この映画はリアリティと話の核を失っている。DV男の殺害にしても都合良すぎる展開だし、FMのDJという設定は活かし切れず、刑事のキャラクターにも疑問が残る。アイデアはともかく、優れた脚本とは到底言い難い。
なのに何でこんなにスクリーンに釘付けになるのか。
答えは当然、ジョディ。いつになく年齢を感じさせる顔のしわ(失礼)だけど、蒼白い顔で見せる苦悩、葛藤、恐怖、殺意を見ていると彼女がスター女優の中でも屈指の演技力を持っていることが良く分かる。脚本があからさまにダメでも、演技でここまで引っ張れる彼女は、やはり金を払う価値のあるスターだ。そんな彼女を援護するのはフィリップ・ルースロの撮影。心の揺れをよくカメラで更に深く表現している。役者の演技を更に深める撮影術は偉大なり。ニール・ジョーダンも細かく期待を良く裏切る地味な巧者振りを見せている。
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