劇場公開日 2008年5月31日

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シューテム・アップ : 映画評論・批評

2008年5月27日更新

2008年5月31日より渋谷東急、109シネマズ、ユナイテッド・シネマほかにてロードショー

ニンジンを凶器に変えるクライブの凄腕にうっとり

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クライブ・オーウェンを見ると、ジャン・ギャバンを思い起こす。2人ともジャガイモのようにゴツゴツした顔だちや過去のあるならず者を得意とするからだろう。男性から「兄貴」と慕われる侠気を全身から発散している点も似ている。

そんなクライブ兄貴が本作で演じるのは、凄腕ガンマン、スミス。アニメっぽい照明を受けた男臭い顔が大映しになる冒頭から何かが起こる予感がする。期待は裏切られず、約3分後には妊婦を追う悪者の脳天にニンジンがグサリだ。どんなに固いニンジンだよ、てなツッコミをする間もなく、ド派手な銃撃戦がスタート。その後もセックスしながらの銃撃戦やカーチェイス、拷問と全編ドカンドカン。香港ノワールへのオマージュも感じるが、アクションの半分くらいを笑いに昇華させた監督の脱力感に脱帽。過激なアクション場面が続くと、後半に飽きがくる観客の生理を見越したセンスのいい演出と見た。意外にも綿密なプロットがあるが、それを忘れるほどのアクション&ユーモアが際立っている。

兄貴に絡むのは、ポール・ジアマッティ演じる二重人格風な元FBIプロファイラーとモニカ・ベルッチ扮する赤ちゃんプレイ専門の娼婦。漫画のような展開に似合う漫画のようなキャラだが、イカしたセリフと真剣演技がまたうれしい。立ち位置を心得た役者たちだ。

シリアスな人間関係なんて日常生活で十分という人、映画で気分スカッとしちゃってください。

山縣みどり

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