「ストーリーは予想が付きますが、それでも怖いです。」キングダム 見えざる敵 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
ストーリーは予想が付きますが、それでも怖いです。
休日のソフトボール大会が開かれていたサウジアラビアの外国人居住地区で、自爆テロが発生。多数の外国人が犠牲となる。危険を理由に国務省がFBIの現地訪問に難色を示す中、現地サウジアラビアに、4人のFBI捜査官が捜査に赴くことに。しかしながら、現地でも歓迎されない雰囲気で、現地警察は冷淡な態度。しかも許された活動期間は5日間。そんな状況で、4人のFBI捜査官は果たして事件を解決に結びつけることが出来るか?
ジェイミー・フォックスが、4人のFBI捜査官のリーダ ロナルド・フルーリーを演じます。手を変え品を変え、文化の違う異国の地で、現地警察の協力を得て行きます。中々、いい演技です。流石にオスカー俳優です。
4人の中の紅一点、ジャネット・メイズを演じるのが、出産して復帰したばかりのジェニファー・ガーナー。イスラムの地での事件に女性の捜査官が行くという設定にしたのは、文化の違いを見せるためなのでしょうか? でも、どう言う意図があったにせよ、あまりそう言うシーンはありませんでしたねぇ。
しかしながら、何と言ってもこの映画で意味のある配役は、サウジアラビア国家警察のアル・ガージー大佐。アシュラフ・バルフムが演じています。最初は、FBI捜査官たちに冷淡な態度をとっていますが、徐々にフルーリーと心を交わすようになり、最後の最後では、非常に重要なシーンを演じています。彼が居ることで、この映画は締まりました。
映画の撮影は、流石にサウジアラビアでは出来ないので、アリゾナ州フェニックスで多くの撮影をしています。ここのアリゾナ州立大学の敷地にリヤドの街のセットを作ったそうです。いやぁ、セットだとは思えなかったです。サウジアラビアでの撮影は実現していませんが、アラブの地としてUAEでの撮影が行われています。ここのエミレーツ・パレス・ホテルが、サウジの王子の宮殿として撮影されています。
9.11以降、こう言うテーマの映画が多いですね。アラブの地で、アメリカ人がどのように見られているかと言うことが良く分かります。まぁ、それが今のイラクやアフガニスタンを作り出しているのかもしれませんが。この映画では、途中、フルーリー捜査官の尽力で現地警察の協力が得られるようになって、物語は一気に解決の方向に進んでいきます。この手の映画にありがちですが、最後は派手な戦闘シーン。犠牲を出し、危機に陥りながらも、何とか解決に導くと言う定番の終わり方。そして、最後の最後のシーン。フルーリーのセリフと、サウジの少年(?)のセリフ。うーん、怖いですねぇ。こう言う連鎖はまだまだ続くという事を連想させます。テロとの戦いは、終わらないんですね。