「凄まじいの一言。」キングダム 見えざる敵 mori2さんの映画レビュー(感想・評価)
凄まじいの一言。
『凄まじいな…』観終った後、こんな言葉しか出てこなかった。『ドキュメンタリーか?』と言いたくなるような、重厚な作り。と、同時にこの映画は、一級品の“アクション・エンタテインメント”です。
1時間50分の上映時間の間、ず~っと息が詰まったままの緊迫した状態で観ておりました。臨場感満点の爆発&銃撃シーンに、緊迫感溢れるストーリー。次の展開が予測できない、『誰がやられるのか?』こんなに張り詰めたまま映画を観たのは、吾輩初めてではないでしょうか?『この映画は、サウジ(中東)で撮ってきたドキュメンタリー・フィルムです』って言われても、充分通用する内容だと思います。しかし冒頭にも書いたように、この映画はアクション映画としても“一級品”であり、極上の“エンタテインメント大作”に仕上がっています。それは製作を務める“男映画”の巨匠マイケル・マンと、そのテイストを引継ぎつつも、見事に自らのスタイルに昇華させた、俊英監督ピーター・バーグによる確かな演出。そして2人のオスカー俳優、ジェイミー・フォックスとクリス・クーパーを筆頭にした俳優陣の、重厚かつ迫真の演技によってもたらされたモノだと思います。
こんなのを観てしまうと、『この世からテロは絶対無くならんわ』と思ってしまいます。如何に希望を持って世界平和を願おうと、地球上には様々な思想、宗教、民族が存在し、それぞれが事あるごとに互いを非難し合い、『自らこそが正義』と主張するのですから、どだいムリな話です。『同じ人間同士』とは言いますが、思想次第で『まったく異なる生き物』とお互いをみなしている訳で、そしてそれは子々孫々の代へと語り継がれていくのです。この映画のラストは、正にそのことを象徴するシーンです。どちらにも、正義は存在しないのです。そしてそのことに互いが気付かないでいる。絶望的ですね。果たして、この戦乱が地球上から消え失せる日は来るのでしょうか?