「この手の映画の定番ストーリー」インベージョン(2007) 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
この手の映画の定番ストーリー
外見は全然違っていないのに、昨日までの人とは何かが違う。その原因は、地球外からの細菌への感染。眠ってはいけない。眠ってしまうと、その細菌が発症してしまう・・・。とまぁ、地球外生命体(細菌も生命体だとして)モノとしては、ありそうな話です。
冒頭、スペースシャトルの墜落・空中分解と言う衝撃的な話から始まりますが、これは2003年のコロンビア号空中分解事故の映像を利用しているようです。確かにあの話は衝撃的でした。このスペースシャトルの事故で、宇宙から、今回の事件を引き起こす細菌がもたらされたと言う設定ですが、別に、スペースシャトルを墜落させなくても良かったんじゃないかな? より衝撃をもたらす効果はあったけど、必然性に掛ける感じがします。
ちょっと良く分からないのが、スペースシャトル事故の当初から、細菌の感染が確認されていたにもかかわらず、CDC(米国疾病予防管理センター)の感染症対策の専門家であるはずのキャロル(ニコール・キッドマン)の元夫タッカー(ジェレミー・ノーサム)が、不用意に野次馬から差し出されたスペースシャトルの破片に素手でさわり、怪我をしてしまうと言うところ。彼は、専門家であるはずなので、その危険性は十分理解していたはずなんですがね。
CDCではなく、USAMRIID(米陸軍感染症研究所)でこの感染への対策の研究が行われますが、CDCがダメで、USAMRIIDが大丈夫な理由がイマイチ不明。民間での出来事なので、CDCが一義的な責任を負う組織だと思うんですが。最後の最後に、USAMRIIDも感染してしまい、希望が絶たれてしまうと言う「これでもか!」的な物語の転換を期待していたのですが、余りにも絶望的な設定になるためか、そう言う話にはなりませんでした。
この手のお話の一応のお約束として、キャロル、キャロルの友人ベン(ダニエル・クレイグ)、そしてキャロルの息子で今回の細菌への免疫を持ち、感染回復からの鍵を持つオリバー(ジャクソン・ボンド)は、物語の後半まで感染しません。もっとも、これもお約束として、この中の一人が終盤に感染・発症してしまうんですけどね。
原作は、1955年のジャック・フィニイの小説「盗まれた街」。これまで数回映画がされていますが、それぞれ、映画化された頃の時代背景を下に、赤狩りなどの裏のテーマを持った作品に仕上がっているそうです。今回の設定では、いきなりワシントンDCも感染地域になってしまっています。ということは、政府首脳も感染してしまうと言う意味でもあって、それが、アメリカ以外の地域(日本やヨーロッパ)では、この細菌への感染は特別危険な感染症として対策が行われているのに対し、アメリカ国内では、今回の感染症はインフルエンザであるとの情報操作が行われ、全く対策が行われない(逆に、感染している者達によって感染を広げる行為が繰り広げられる)と言う事態を引き起こしているわけですが、この政府による情報操作は、いまのイラク情勢に対しての情報操作を示していると見るのは、考えすぎでしょうか?
現実の今はハロウィーンですが、この映画もハロウィーンの時期の話。ハロウィーンの”トリックorトリート”の風習が映画の中にも描かれています。それと、やっぱり、ニコール・キッドマンは美人ですね。こんなお母さんが居たら、自慢しまくりだな。