「原作にない場面や過剰演出で興醒め」夕凪の街 桜の国 カモシカヤマネさんの映画レビュー(感想・評価)
原作にない場面や過剰演出で興醒め
2018年に川栄李奈・常盤貴子のW主演で放送されたテレビドラマ版の方が、原作に寄り添った脚本で、主人公の哀れさが伝わってきた。
映画版の本作はドラマの10年前の作品。原作と異なる演出で、悲劇感を誇張しており、要らない部分が多すぎた。
主人公ミナミとウチコシさんのほのかな恋が実るかと思った矢先の悲劇。
原作でのこの2人の別れの描写は切なくて、読者の想像力をかき立てるものだった。
あっという間に別れがきてしまうのは原作に忠実なのだから、仕方がない。無理に引き延ばそうとしないでほしかった。
映画版は、原作にないものを作りすぎていて、想像もさせずに見せるばかり。過剰演出にかえって興醒めした。
麻生久美子、吉沢悠、藤村志保のキャスティングがすてきだっただけに、もったいなかった。
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