「殆どみんなが銃撃された経験があるって、アメリカの15歳はすごい」フリーダム・ライターズ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
殆どみんなが銃撃された経験があるって、アメリカの15歳はすごい
総合:80点
ストーリー: 80
キャスト: 80
演出: 80
ビジュアル: 70
音楽: 70
日本ならば中学生の14-15歳が、人種ごとに分かれて争う様子は、彼らが大人になったときの将来の街の縮図である。彼らは町では銃撃戦をして学校では殴り込みをかける。銃撃を受けたか、身近な人が殺されたかという質問には殆どの人が経験があると答え、人を殺した生徒すらいるというその状況は、日本の中学生の非行よりははるかに深刻度が進んでいる。
ヒラリー・スワンク演じるエリンの相手にする生徒はそれほどにまで荒れていた。彼女が人種問題をホロコーストをからめて教え、誰もが理解していない一人一人の厳しい事情を日記を通して共有する。そのような一人一人の事情を、限られた映画の時間の中でしっかりと描いていくがゆえにこちらにもそれが伝わってくる。そんな作品作りの姿勢がとても評価できる。だから彼らが自分の道と自分の居場所を見つけ、それでも現実が厳しくて命の危険まで出てきてもなんとかなっていっているというのに説得力がある。
ここに描かれていない挫折もたくさんあるだろうし、結局駄目になっていった生徒もいたかもしれない。でもこれほどのひどい状態から高校卒業までもっていけただけでも十分に偉大な業績。今後もこのプログラムがうまくいけばいいけれど、年功制による既得権益にしがみつくマーガレット先生のような人もいるし、いい先生を見つけ雇用し続けるというのがやはり一番だろうか。
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