「「かもめ」と比べて…」めがね Casaさんの映画レビュー(感想・評価)
「かもめ」と比べて…
「かもめ食堂」と同じ監督・主演による新作とはいえ、出来は前作のほうが上と感じた。同じスローライフ系映画とでも言えばよいのだろうが、南の島が舞台という時点で、フィンランドの日本食堂という非凡な設定だった前作に比べて、凡としたものになってしまっている感は否めない。
南の島でゆったりスローライフなんて、いまどき誰もが考える当たり前のこと。もちろん荻上流の独特なユーモアや笑いもちりばめられていて、ちょっと風変わりなキャラクターたちも面白くはあるものの、その彼らが一向に動かないので、総じてスローすぎて退屈になってしまう。
穿った卑屈な見方をあえてするならば、前作が受けたことにより、今回も「こんなスローライフ、素敵でしょ?」とでも言いたげな、妙な“意気込み”や“肩に力が入ってる”感を感じてしまった。映画がビジネスである以上、世間が求めるものにある程度応えなくてはなけないプレッシャーはあるだろうが、変に束縛されない状態で発揮される独創性を、荻上監督には期待したい(それこそ「バーバー吉野」のような)。この手の映画は「かもめ」「めがね」の2作でとりあえず終了として、次回作が楽しみではある。
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